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石神井駅前が“ビル風”通りに(その3)

“ビル風”が吹き荒れる街?

あらためて、事業者(再開発組合)が行ったシミュレーション結果を見てみましょう。事業前、つまり現状と再開発ビル建築後では、風の状況はこう変わります。

石神井駅前が“ビル風”通りに(その1)

ランク1 91か所 → 82か所
ランク2 3か所 → 13か所
ランク3 0か所 → 4か所
ランク4 0か所 → 0か所

新たに大きな道路ができることに伴って推計ポイントの総数が5か所増えていますが、ここで注目してほしいのはランク2とランク3の変化です。ランク2は4倍以上、10か所も増えます。今までなかったランク3も、4か所出現します。

この風に関するランク=指標が何を意味するか、事業者の資料にはこういう説明がついています。

最大瞬間風速が10m/s、15m/s、20m/sに達する日数が何日になるかという点に着目して、ランク分けがされています。ランク1は、10mを超える日が年間に37日まで、15mを超える日が3日まで、20mを超える日はほぼゼロ。これに対して、ランク2はそれぞれ80日、13日、2日になります。
こうしてみると、ランク1がランク2になるというのは、たいへんな変化です。何しろ10m/s超の風が吹く日が2倍強、15m超が4倍以上、そして20m超は6倍を超えるのですから。ランク3になると、さらに大変です。1年365日のうち、半分近い159日で10m以上の突風が吹くことになります。

「散策してみたくなる街」はどこへ行った!?

青色のランク2が3か所から13か所へ。ランク3が0から4か所へ。この変化がどれほど大きなものか、わかっていただけることと思います。しかも、今回の資料では、青よりもさらにひどい黄色のランク3が4か所も出てきてしまいました。これはもう、危機的です。ランク3は「事務所街」なら許容できる範囲とされています。この定義自体の限界は改めて触れますが、これを前提にしても、人が住み、歩き、集う空間にはふさわしくないランクであることは明らかだからです。それは、練馬区の表現を借りれば、「住宅街等で許容される」範囲を超えるものであり、「まちを散策してみたくなる環境」「歩いて楽しい街並み景観」(地区計画資料より)をつくることを大きなコンセプトとしてきた石神井のまちづくりにとって、再開発ビルがいかに異質なものかをさらけ出す事態なのです。(続く)

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