校庭を、東西南北に道路が二本
練馬区立大泉第二中学校(大二中)は、東大泉6丁目にあります。開校から70年近く、地域に愛され大切にされてきた学校です。
この大二中の校庭を分断する位置に、二本の道路計画があります。都市計画道路補助135号線と232号線です。練馬区がこの二本の道路を是が非でも整備しようと、地域に入り始めてからちょうど20年になります。地域を振り回し続けてきたこの問題が、今、改めて区政・区議会の大きな争点になりつつあります。
論ずるべきことは本当にたくさんありますが、まずはこの20年を振り返ってみます。
20年を振り返ると…
135号線も232号線も、都市計画として定められた道路です。135号線は幅員15m、232号線は16m。 補助135号線の都市計画が定められたのは、戦後すぐ、1947年の『戦災復興院告示』においてです。もう一つの232号線は、戦前の細街路計画を踏襲する形で、1966年に都市計画決定されています。
都市計画として定められてから半世紀以上が経ちますが、この二つの道路が実際に動き出したのは2004年です。135号線の一部として大泉学園駅西のアンダーパスが完成したことを受け、そこからさらに南に進む動きが表面化したのです。
□□都・区、事業着手へ動き出す
■2004(H16) 東京都『区部における都市計画道路の整備方針』(第三次事業化計画)公表。135号と232号の下記区間を「優先整備路線」に指定
★135号線 大泉学園駅南~青梅街道 2,800m
★232号線 学芸大通り~大泉南小学校
■2004(H16).12 練馬区、「都市計画道路補助第135号線、第232号線整備を含めた大泉学園駅南側地区におけるまちづくりに関するアンケート調査」実施
■2004(H16).12 「まちづくり懇談会に向けた準備会」開催
■2005(H17).2 同、第2回
■2006(H18).2 「大泉学園駅南側地区 補助135・232号線の整備に関する全体準備会」
■2006(H18).3 新長期計画(2006~2010年度)策定。
★135号(大泉学園駅南~大泉第二中)、232号(学芸大通り~大泉第二中)を計画事業に位置付け
★中期実施計画で「2009年度現況測量、2010年度用地測量・基本設計」
■2006(H18).12 「大泉学園駅南側地区 補助135・232号線の整備に関する関係権利者説明会」。まちづくり懇談会を提案するが、実現せず。
並行して『みちづくり・まちづくり通信』発行。No.1(2005.4〉~No.7(2017.4)
□□学校再建策について、教育委員会内の検討へ
■2007(H19).4 区議会本会議で、教育長、大二中の「再建策」の検討を表明
■2007(H19).6 南口豊かなまちづくりの会から、区議会陳情。学校存続と都市計画の見直しを求める
■2010(H22).3 新しい長期計画、前期実施計画策定
★135号(大泉学園駅南~大泉第二中)、232号(学芸大通り~大泉第二中)を計画事業に位置付け
■2010年度「合意形成活動」、2012年度「現況測量」
■2010(H22).8 『都市計画道路と学校施設の整備に関する検討業務委託』について委員会報告。土木部として、立体交差も地下化も困難と結論 ➡ 平面交差前提に再建策を検討
「今後は、道路を平面上で整備することを前提に、中学校を学区域内で移転もしくは現地に再建するものとして、検討を進めていきます」(『みちづくり・まちづくり通信』Vol.5)
□□考える会の発足と長期計画の大幅修正
■2011(H23).1 「大二中を分断する道路計画を考える会」から区議会陳情
■2011(H23).2 区議会本会議。自民党、公明党が一般質問で135号富士街道までを優先することを求め、区は「補助135号線について、富士街道までの整備を優先させることも視野に入れていく」と答弁
大二中を分断する道路計画を考える会は、現在も粘り強く活動を続けています。公式Hpは こちら
次に、補助135号線の富士街道までの早期整備についてであります。
学芸大通りと主要区道42号線、いわゆるロードふじみの交通問題の抜本的な解消には、補助135号線の西武池袋線南側から富士街道までの区間約1.2キロメートルの整備が不可欠であります。しかしながら、整備区間の延長が長いことから、事業効果を早期に実現させるため、現在、補助232号線の一部を整備し学芸大通りに接続させるなど、段階的な整備を進めることとしております。なお、大泉第二中学校の再建計画は現在検討中であり、その検討結果によっては、補助135号線について、富士街道までの整備を優先させることも視野に入れていく必要があると考えております。
2011.2.7 区議会本会議
■2011(H23).3 『都市計画道路と学校施設の整備に関する検討業務委託』報告書取りまとめ。135号線の整備を優先し232号線を当面、棚上げする方針が動き出す
■2011(H23).6 同報告書、区議会委員会報告。地域での説明会へ
■2012(H24).2 長期計画・後期実施計画策定。135優先方式へ計画変更。事業年度も先送りへ
★計画区間 135号線・大泉学園駅南側~富士街道。232号は計画路線から外れる
★計画目標 2014年度「現況測量」
□□土木部サイドで道路構造検討へ
■2013(H25).5 議会報告『補助第135号線の整備に伴う道路構造等の検討について』
■2013.12 135号線の優先整備方針への転換を正式に表明
■12.13~12.15 オープンハウス開催
□□前川区長、三度目の大転換
■2014.4 前川区政、スタート
■2016.2 前川区長、整備方針の大転換を明言
副区長 今回、平成25年にお示しした整備計画素案について、全面的に見直しを行います。この見直しは、素案で将来課題としていた補助232号線の整備を想定したうえで、中学校の教育環境を確実に保全する再建策の検討などを行うものです。そのため、地域交通、教育、建築等の各分野の知識、経験豊かな方で構成する有識者委員会を設置します。委員からは、これまで区独自で行ってきた検討を再点検したうえで、今後区が事業を進めるにあたって、必要な助言をいただきたいと考えております。
■2016.3 『東京における都市計画道路の整備方針』(第四次事業化計画)公表
■2016.3 練馬区立大泉第二中学校の教育環境保全および都市計画道路の整備に関する有識者委員会 発足。以後、2019年まで19回開催
■2017.4 有識者委員会、中間報告
■2018.3 前川区政の『アクションプラン』を改定。事業名を「補助135号線(大泉学園駅南側~富士街道間)」から「補助135号線および補助232号線(大泉学園駅南側地区)」に変更。目標として「有識者委員会による検討・提言 取組方針策定」を位置づけ
■2019.5 有識者委員会『提言』。校地の再形成、「まちづくり」とのセットによる建築基準の緩和を柱とした現地再建案を「有力」と評価
■2023.12 第三次『アクションプラン』素案。2024-2026年度に「取組方針策定 重点地区まちづくり計画案の検討 測量」を位置づけ
有識者委員会の『提言』からも、もう5年が経とうとしています。区は、『提言』で有力とされた「現地再形成案」を基本に取組方針の検討を続けていると繰り返しており、新しいアクションプランでは、2024年度に取組方針を策定すると明記されています。
本当に方針はまとまるのか。それは、大二中の教育環境の保全という大前提と、本当に両立するのか。そして、地域は、区議会は本当にそれを受け入れるのか。
この20年、区は方針を二転三転させ、地域はそのたびに振り回されてきました。そもそも大二中の教育環境との両立は無理なのではないか。道路の必要性から見直すべきではないか。そんな声は、ずっと無視され続けています。20年越しの正念場が近づいています。
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