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石神井駅前が“ビル風”通りに(その2)

石神井公園駅の南口西地区=駅西口正面に再開発ビルができることで、“ビル風”はどのくらいひどくなるのか。もう少し詳しく見ていきます。
まず、そもそも“ビル風”の影響は、どのように評価するのか?

「村上方式」──“突風”の起こりやすさを測る

再開発組合が用いた評価方法は「村上方式」と言われるものです。この方式は、風環境の評価ではもっともよく使われるものの一つですが、その基本は、瞬間的な風の程度、頻度を指標とするというものです。例えば、一日を通してだいたいどの程度の風が吹いていたのかという視点で、風の影響を評価する手法もあります。これに対して、村上方式は瞬間的に吹く風の強さに着目します。いわば”突風”の起こり具合をより重視した方式、ということでしょうか。

風速には、「平均風速」と「瞬間風速」があります。

■瞬間風速:風速計の測定値(0.25秒間隔)を3秒間平均した値(測定値12個の平均値)
 日最大瞬間風速:一日の中での瞬間風速の最大値
■平均風速:10 分間の平均風速
 最大平均風速:10分間平均風速の最大値

村上方式では、最大瞬間風速が10m/s、15m/s、20m/sのそれぞれを越える日が年にどのくらいあるかを予測します。予測の方法は、①観測データから当該地域の風速・風向の分布を確認する、②建物が建設されたのちの市街地の形状をモデル化する、③そのモデルのもとでの風の状況をコンピュータでシミュレーションする──こんな流れになります。

風に立ちはだかる、再開発ビル

前回の記事で紹介した再開発組合のデータも、この村上方式に基づいて導き出されたものだということです。まず、こちらが現在の風の状況。風向と風速の出現頻度です。(いずれも説明会資料より)

風向は、圧倒的に北風が多くなっています。次に多いのが南寄りの風。つまり、南北方向の風が大半を占めることになります。ここに東西にやたらと幅の広い超高層ビルができる…“ビル風”にとって最悪の配置です。
続けて、風速はこちら。

資料には「練馬測定局の気象データを参照」とあります。それ以上の詳細はわかりませんが、石神井台にある練馬観測所で計測された、日ごとの最大平均風速を積み上げたものだろうと思われます。これによると、もっとも頻度の高い風速は3m/sです。10mを超える日は、年に1日か2日。12mを超える日はなかったようです。

さて、では再開発ビルができると、風はどう変わるのか? (続く)

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