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学校司書、「派遣」で配置!?

前川区政の新しい行政計画『第3次みどりの風吹くまちビジョン(素案)』のアクションプラン=年度別計画に、「学校司書の全校配置」が盛り込まれました。新規事業の扱いです。再来年度、2025年度に全校に配置するという年次計画も示されています。

ついに「学校司書」配置へ!?

この10年、私は、「学校図書館」の問題を何度も議会で取り上げてきました。一貫して求めてきたのは、「学校司書」の配置です。練馬区が学校図書館に担当者を置くようになったのは、2006年度からです。業務委託の「管理員」が先行して配置され、2009年度からは図書館からの「支援員」の配置も始まり、この2つの制度が並行して広がりながら、学校図書館への人的な配置が進められてきました。

しかし、「管理員」も「支援員」も、どちらも学校の職員ではありません。管理員は、あくまで学校から委託された会社の社員。そして、支援員は業務委託ですらなく、形式上はあくまで地域の図書館による「支援事業」としての配置です。いずれにしても、身分的にも事業としても不安定さが付きまとい、実際に特に管理員の方は、配置が間に合わないといったトラブルも発生してしまいました。学校図書館がしっかりと子どもたちの学びと育ちに役立つためにも、また配置される人員の雇用・身分の安定のためにも、直接雇用の職員を配置すべきである――私がもっとも力を込めて求めてきたのは、この点でした。

学校司書は学校の「職員」である

学校司書とは何か。学校図書館法に定めがあります。

(学校司書)
第六条 学校には、前条第一項の司書教諭のほか、学校図書館の運営の改善及び向上を図り、児童又は生徒及び教員による学校図書館の利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(次項において「学校司書」という。)を置くよう努めなければならない。
2 国及び地方公共団体は、学校司書の資質の向上を図るため、研修の実施その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

この条文は、2014年の改正で盛り込まれたものです。「専ら学校図書館の職務に従事する職員」、それが学校司書です。委託や「支援」のスタッフが法に言う「学校司書」でないことは明らかです。『学校図書館ガイドライン』作成にあたって、文部科学省の調査研究協力者会議が2016年に取りまとめた報告書『これからの学校図書館の整備充実について』は、以下のように述べています。

  「学校図書館法に規定されている学校司書として想定されている者は、学校設置者が雇用する職員である。学校図書館法では、学校に学校司書を置くよう努めなければならないとされているため、教育委員会は、学校司書として自ら雇用する職員を置くよう努める必要がある。」

2016.10『これからの学校図書館の整備充実について(報告)』
学校図書館の整備充実に関する調査研究協力者会議

教育委員会は、直接雇用の学校司書を配置することを頑なに、言いつくろいを重ねながら拒み続けてきました。それが、「学校司書の全校配置」を新規事業として計画に盛り込んだのです。
画期的なこと、そう思います。しかし…

「学校司書の全校配置」はすばらしいが…

アクションプランには、こう書いてあります。

区立小中学校の学校図書館において、学校のニーズに応じた対応の充実を図るため、司書資格等を有する派遣職員を学校司書として全校に配置します。

第3次みどりの風吹くまちビジョン アクションプラン〔年度別取組計画〕【素案】より

「派遣職員」というのは、労働者派遣法に基づく派遣労働者の派遣を想定していると思われます。
しかし、派遣労働者は派遣元の会社の社員です。派遣先の学校は、派遣された労働者に対する指揮監督権は持ちますが、しかし、雇用主はあくまで派遣元です。どうしたって、「学校設置者が雇用する職員」ではありません。それなのに、なぜ「学校司書」と呼べるのでしょう?

そもそも、労働者派遣法による派遣は、あくまで臨時的・一時的なものであるべきです。厚生労働省が明言しているように、労働者派遣法は「派遣労働という働き方、 およびその利用は、 臨時的・一時的なものであることを原則とするという考え方」の上に制定されているのです。

『派遣で働く皆さまへ ~平成27年労働者派遣法改正法が成立しました~』

こういう原則に立つからこそ、派遣労働の利用についてはさまざまな制限、縛りが置かれているのです。学校司書が果たすべき職務は、継続的で長期的なものです。安定的で持続的な雇用が保障されなければ、学校司書としての研さんや熟練、教員との豊かな連携、そして質の高い仕事は期待できません。

ごまかしなく、直接雇用の学校司書を!

実は、23区でも学校図書館に人材派遣を使っている先例があります。足立区です。派遣元はTRC、図書館流通センターです。TRCは、練馬でもたくさんの図書館の指定管理者となっていますが、人材派遣会社としても登録していたんですね…。
足立区は、中学校は会計年度職員という直接雇用の職員を配置していますが、小学校は、TRCからの人材派遣です。しかし、足立区は、中学校の方は「学校司書」と呼んでいますが、小学校の人材派遣社員については「支援員」と呼んで区別しています。当然です。派遣はあくまで派遣であって、派遣された社員は「学校が雇用する職員」ではなく、したがって法が定める学校司書とは言えないのです。

学校司書の配置を打ち出しながら、派遣などという中途半端で、姑息で、そして法の趣旨にもかなわないことを、なぜ教育委員会はやろうとするのか。本当に不思議です。そして、いい加減にしてほしい。

直接雇用の学校司書を今度こそ配置することを、強く、強く求めます。

▶これまでの投稿から
2022.06.30 「学校司書」と東京都 ~委託方針からの全面転換~
2022.06.29 「学校司書」を、なぜ置かないのか?
2022.01.17  消えた「学校司書」の道 ~点検・前川『アクションプラン』②~

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