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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「プール」を解体する前に ~としまえん跡の公園整備~

7月15日、としまえん跡の公園整備の現状について東京都に話を聞きに行きました。対応してくれたのは、東京都公園緑地部計画課に新たに置かれた練馬城址公園整備担当のお二人。この間、としまえん問題に関連して精力的に発言を続けてきた平岩利文弁護士も、一緒に話を聞いてくださいました。少し整理してご報告します。
まずは「プール」の話から。

東京都 練馬城址公園整備計画より

としまえんのプールは、石神井川南側の大半を占めていた施設です。このプール一帯は、都の公園整備計画では「D. 人々を繋げ歴史を伝える文化ゾーン」としてゾーニングされ、2029年度(令和11年度)までの予定で整備されることになっています。石神井川北側の大半がハリー・ポッターに差し出されたために、プールエリアは公園整備の中心的な空間と重なることになってしまいました。そのため、都の公園整備は、このプールの解体を前提にしたものになっています。プールの解体について、都の担当者はこんな説明をしていました。

  • プールは壊す前提である。解体しないことには公園整備が始まらない。
  • 公園整備を早く始めるために、解体工事は土地の購入に先立って、西武鉄道にやってもらう。解体費は都が出す。
  • 撤去工事費は今年度から予算措置済み。解体工事に関する契約(のようなもの)はすんでいる。
  • 測量には入っているが、設計はこれから。設計に数か月かかるので、今年度中に解体工事に入るのは厳しいだろう。

北側の遊具等の解体・撤去は、土地をハリー・ポッター計画に提供するために西武鉄道が進めてきました。これは、公園整備とは別な工事です。都立練馬城址公園の整備のための、最初の一歩がプールの解体工事だということになります。皮肉なことです。プールを残してほしいという強い思いが繰り返し繰り返し都や都議会には届いていたはずですが、しかし、実際にはプールを残す意思も、プールへの未練も、プール解体へのためらいも、少なくとも都には全くないようでした。
しかし、あの『覚書』を交わしてしまった以上、都としてはそれ以外の選択肢はなかったということかもしれません。何しろ、公園整備にとって最適の空間である石神井川北側を30年にわたって公園の区域から除外してしまったのです。これまで約束してきた「防災拠点」の機能一つとっても、プールエリアをつぶすこと抜きに確保することは至難の業だろうからです。

それにしても、すでに解体工事についての約束を交わし、予算措置もし、測量に入っているというのですから、ずいぶんと手回しがよいものだとちょっと感心してしまいます。担当者は「少しでも早く整備に入りたい」と言っていましたし、その思いに嘘はないと思いますが、見えないところでいろんなことが動いてきた、今も動いているという印象はいささか気が滅入るものです。
プール解体のための約束とはどんなものなのか、予算措置とはいくらなのか。調べてみたいものです。そしてもう一つ、解体工事から始めるといってもまだ設計に入っていないこと、解体工事は来年度になりそうであることを確かめられたのはよかったです。プールを残せないのか、残してほしいというたくさんの区民の思いは、『覚書』とハリー・ポッター施設を前提にさえしなければ、決して理不尽なものでも利己的なものでもありません。解体が事実として進むまでは一つでも二つでもやれることを探してみたいと思っています。『覚書』を、私はまだ受け入れていません。

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