昨日、3日の夜、区役所で「練馬駅北口区有地活用事業説明会」が開催されました。
練馬駅の北口に残された約4000㎡の区有地。この利用計画をめぐっては、区議会でも長く厳しい議論が続いてきました。もともとはカネボウの跡地であったこの区有地を取得する時期にさかのぼればもう30年近くの議論になります。区が「活用基本構想」をまとめてから丸2年、そして今、｢区有地の賃貸｣｢民間ディベロッパーによる再開発ビル建設｣｢区関連施設のための床買い｣を骨格とする活用計画の具体化に向け、区が事業者を選定するところまで事態は進み、その事業者も引き連れての昨日の説明会となりました。
それにしてもずいぶんと話が変わったものです。当初、この｢活用事業｣の趣旨について、区はこう言っていました。
第3 活用の基本理念
活用によりめざす方向
区有地の活用にあたっては、練馬区新長期計画に掲げる計画目標｢うるおい・にぎわい・支えあい ともに築く わがまち練馬 ～豊かさとゆとりあるまちへ～｣を実現するため、区の関連計画における位置づけや区有地の立地特性、｢練馬駅北口区有地活用に関する提言｣などを踏まえ、以下の3つの基本的方向のもとに、｢練馬の中心核｣を形成する拠点の一つとして、にぎわいと活力の醸成をめざしていきます。
(1)基本的方向1 『憩い・交流・活動による練馬区全体の活性化』
人々が憩い安らぐ空間や多様な交流の場、文化活動の場を創出し、区内外から多くの人々が行き交うとともに、活発な交流をとおして一人ひとりがその人らしく生き生きと活動できるようにしていきます。
町会・自治会や地域活動団体との協働によって、区民がよりいきいきと活動できる基盤をつくります。
これらにより、練馬区全体の活性化を図ります。
(2)基本的方向2 『区内産業の振興と経済の活性化』
区内産業が将来にわたって振興し、経済が活性化するための拠点としていきます。
地場産業や観光情報を活用するなどして、練馬区の魅力を発信するとともに、商談等で訪れる人々を増やし、区内産業の振興と経済の活性化を図ります。
これらにより、将来に向けた区内産業の構造強化をめざします。
(3)基本的方向3 『生活の質の向上』
子どもから青少年、高齢者など幅広い世代に対し、ライフステージに応じた生活情報を提供、発信するとともに、訪れた区民が生活のスタイルを考え、見直し、充実させる契機となる場としていきます。
これらにより、多様な区民が暮らしの知恵や知識を吸収・共有し、生活の質の向上に役立てられることをめざします。
『練馬駅北口区有地活用基本構想』
地域交流、産業振興、活性化…区の言う｢駅前の立地特性｣は、人を呼び寄せ、にぎわいが生まれ、それが産業の振興につながる、そんなイメージとして語られていました。ところが、です。最終的に区が選定した事業者の提案は、なんと8階建ての5-8階を病院、それも回復期リハビリ病院にするという提案なのです。昨日の説明会でも、区は、採用されたプランの核心は病院である、病院が実現できなければ事業化はないとまで言い切っていました。北口区有地は、いつの間にか｢病院誘致｣計画の舞台にすり変わろうとしています。
もちろん、病院は病院で、意義も必要性もわかる。でもね、それと｢基本構想｣で語ってきたものとはずいぶんと違うんじゃありませんか…? いやいや、昨日もずいぶん質問が出ていましたが、いったい病院を作るための病床許可は大丈夫なのか。練馬区も含む医療圏では、ベッドの余裕は200床もありません。区長が打ち上げた｢200床以上5病院構想｣はいくらか時期が先だとしても、順天堂病院の増床はすぐ目の前ではなかったのか? こんな答えが飛び出しました。｢持参金付きで病院に来て頂くことも考えている｣と。つまり、現に区外で開設されている病院に引っ越して来てもらうことを考えていると。どこにある、どんなタイプのベッドを引っ張ってくるのかわかりませんが、これもまた、いろんな議論を呼び起こす話です。医療政策という視点からも、この練馬駅前北口の事業は検証が必要になってきました。
｢産業振興｣や｢活性化｣といくらかつながるとしたら、1-２階でしょうか。ここは商業施設のフロア、衣料品や食料品、雑貨、ドラッグストアなどが例示されていましたが、具体的な話は出ず。それ以上に気になったのは、事業者のこんな説明です。
｢練馬駅は乗り換え客が多い、ぜひ練馬で降りてもらえるように｣
ふうむ…ということは、この新しいビルが狙っているお客さんは、いつもは光が丘あたりで買い物をしている人だってこと? 乗り換え客だし駅と直結する建物だから、わざわざ練馬の商店街にまで足を延ばすことは期待していないってこと?? これがどうして｢活性化｣なの???
昨日の説明会はこの問題を所管していたはずの企画課長が出席していないし、なんだか釈然としない思いで次々といやみが浮かんでしまいました。さて、議会ではどういう議論になっていくのか…。
コメント