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外環道は“突貫工事”?

 総事業費が1兆円を超える巨大公共事業、外環道(練馬~世田谷区間)の現状です。
 外環道(練馬~世田谷区間)は、練馬の関越道大泉ICから東名道までの16Km。大深度地下を使ったトンネル構造を基本にして整備されることになっています。なかなか大変な工事です。さて、この工事の見通し、流れはとうなっているのか。
 工事の工期や工程は、環境アセスメント図書の中で示されています。ところが、この工期・工程がこれまでに少なくとも2度、大幅に変更されました。まず、その変更の経過を見てください。

①当初の環境アセスメントの時点

②2012年、事後アセス実施時点

③2013年、事後アセス実施時点

 2012年の変更②はオリンピックとの関連で工期を前倒しするなどの計画変更に伴って、もう一つの2013年のほう③は一部ジャンクションなどの工法変更に伴って、それぞれ環境影響評価の補足・修正を行った際に示されたものです。どの表でも、初年度は整備計画が定められた2009年(H21)になります。したがって、第一表では供用開始が2022年(H34)、第2表と第3表では2020年(H32)ということになります。
 さて、この3つの表を見ると、いろんなことが見えてきます。
●工期が前倒しになったにもかかわらず、①表では2年で終えることになっていた用地買収はどんどん先に延びている
●トンネル工や高架工などの本体工事は、①では3年目、つまり2011年度には着手となっていたが、③では2013年度着手にまでずれ込んでいる
●土工の工事が②では3年で終わる予定だったものが、③では8年にわたって続くことになっている
 こうした工程表の変化をどう読むのか、必ずしも詳しくはありませんが、しかし一見すると、工期がどんどん先に送られ工程が厳しくなっていると思われます。しかも、実際には今年度、2015年度についてみると、ジャンクション部の工事が東名では一部本体に入ろうかというところに来ているようですが、大泉のほうはやっと準備工の入札が終わった段階です。③の表のとおり、今年度中に高架や換気所の工事に入ることができるとはとても思えません。
 オリンピックがどうなるかにもよりますが、しかし、2020年供用を前提にすれば、大変な“突貫工事”になってしまうのではないかと気がかりです。外環道については、現在の財政事情や経済状況の中で事業の是非・可否、優先順位そのものについても深刻な議論があるところですが、巨大工事がもたらす地域への影響という点でも、しっかりと検証していく必要がありそうです。

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