昨日のコメントで、「保育が半ばスクラップ化され始めているのではないか」と書きました。そう感じたのは、ほかにも理由があります。
16日の説明会でのやり取りの中で、こんな説明がありました。
「区の保育士は、毎年、約50人が退職している。定年退職が20人、勧奨退職が10人、普通退職が20人。委託によって毎年、2園分で40人ほど定員減になるので、新規採用は10人程度となる。」
以前、区の正規保育士の年齢別構成の資料を取り寄せました。それによると、平均年齢は40歳。5歳刻みでもっとも多いのが40~44歳で全保育士の20.4%、ついで35~39歳が19.3%。この二つで4割を占めます。他方で、20台は13.1%しかいません。所管の説明では、毎年1歳ずつ平均年齢が上がっているといいますから、今のままでも10年後には50歳に近づきかねない状況です。人口の急増に対応して区立保育園を整備してきた中で、年齢構成の偏りはある意味でやむをえないところですが、しかし、今後、保育士の年齢が全般的に高くなっていくことは必至であり、そのなかで保育士の年代バランスや経験・知識の継承をどう図るかということは、保育行政の大きな課題の一つです。
ところが、この点で大規模な「委託化」は実に深刻な影響を及ぼしかねません。なぜなら、毎年退職する50人を新規採用で補充していてさえ1歳ずつ年齢が上がってきたのに、これからは、50人の退職に対してわずか10人しか採用しないことになるからです。平均年齢はさらにピッチをあげて上昇し、高止まり状態が続くことになりかねません。
「委託化」は、委託される園への影響にばかり目が行きがちですが、しかし、10年後でも認可保育園の半分は直営園です。その直営園で保育士の高齢化が急速に進むとしたら、それもまた、深刻な問題なのです。
区の「委託化」計画は、直営保育園の職員管理、人事政策、人材育成という点でも、熟慮されたものとはとうてい言いがたいものです。保育を取り巻く環境は、要保育児童の数ひつとっても、10年後は状況は大きく変わっているでしょう。10年を見据えた施策や事業のあり方が問われてるのに、目先の財政効果に目を奪われているとしか思えない区のありようは、とても残念です。
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