Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「60億」も、関係なし?

 22日、「議会費・総務費」の予算質疑の中で、光が丘の跡施設利用の問題を取り上げました。以前もこのブログで紹介したように、光が丘団地が整備される際、学校などの公益的な施設の建設のために、公団が1戸当たり110万円、総額で60億円の「協力金」を負担しています。このことを踏まえ、私はこう聞きました。

 学校施設であることを前提に住民に多額の協力を頂いた以上、その学校施設を廃止したり他の用途に転用するに当たっては、当の光が丘の住民の理解を得るよう努力し、あるいはその要望や必要に十分に配慮すべきであると考えるが、どうか?

 これに対する企画課長の答弁を、録音から採録します(敬語表現は省略)。

 開発協力金は住民が負担したのではなく、開発事業者が地元自治体に対して負担をしたもの。その負担の考え方の中に一戸当たりいくら相当分を負担するということであり、住民の方々が直接に負担をしたわけではない。こうした負担を一部として教育施設等を整備してきたわけであるが、それらの施設が時代の変遷とともにそのまま使わなくてもよい状況になったので、それらの跡施設の利用については、この負担の有無にかかわらず、有効な活用方法を考えていくのが私どもの考え方である。

私が、重ねて「転用・廃止にあたって、光が丘住民の皆様の必要や要望に配慮する必要はないということか」と問うたところ、課長は「公団が負担をしていることの有無によって、跡施設の活用方法について何らか変わるというものではない」と言明しました。
 60億の「協力金」は、「学校施設」であることを前提に支払われ、そして最終的には入居者に転嫁されました。それにもかかわらず、学校を廃止したり、他の用途に転用するにあたって、当の光が丘住民の意向や希望に配慮する意思も用意もないということを宣言する答弁です。

 区のこうした姿勢を、光が丘の皆さんがどう受け止めるのか。容認するのか。区は、大きな賭けに出た、と私は感じましたが、どうでしょう?

 もともと、光が丘の学校跡施設の利用を巡る議論は、「全区的な視点」ばかりが強調され、光が丘の住民の意向や要望はまったく後回しにされてきました。この議論の土台となった<基本方針>はその象徴です。そこには、次の3つの原則が――ただそれだけが書いてあるのみです。

「区立学校適正配置第一次実施計画」に伴う学校跡施設活用に関する基本方針
学校跡施設活用の基本的な考え方
(1)全区的視点からの活用
学校跡施設は、区民全体の貴重な財産であることから、練馬区新長期計画や中期実施計画における目標、計画化している施設について等、全区的視点からの活用を図る。また、将来の区政における重要となりうる課題への対応等を図るための活用も検討する。
(2)現行校舎等の有効活用(略)
(3)民間活力の導入(略)

 区は、そもそもの初めから、意図してかあるいは無自覚ゆえにかはともかく、光が丘住民をこの跡利用の一つの主役として位置付けようとは全くしてこなかったのです。「協力金」の問題を指摘されてもなお、区はかたくなにこの姿勢を変えようとはしませんでした。いまさら変えるわけにはいかない、ということかもしれません。しかし、これから都市計画の手続きに入っていく中で、地域住民、近隣でもあり地権者でもある住民の意向をないがしろにするこうしたやり方がどこまで通用するか、はなはだ疑問です。都市計画の改定、例えば新たな地区計画の導入や用途地域の「緩和」「特例」の適用を図るためには国や都の了解が不可欠ですが、国にしても都にしても、関係住民の合意が整っていない中では容易にはGOサインは出せないでしょう。

 全区的な視点ももちろん大切だが、しかし、光が丘の住民のことを後回しにしてきた、ないがしろにしてきたことは隠しようがない。都市計画の変更をせざるを得ず、そしてこの都市計画変更のためには地域内住民の合意形成が強く求められていることを考えれば、出発点でのこの誤りは、区にとって大きな躓きの石になっている。出発点に立ち返って、襟をただし、姿勢を正すことを求める。

 私は、こう指摘して質問を終えました。
 

コメント