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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「姉歯」事件

 千葉にある「姉歯設計事務所」が、建物の設計の基本となる構造計算書を偽装していたという事件は、同事務所が関わった建物、そして偽装が見逃されていた建物が次から次へと確認され、建築行政に対する信頼性を根幹から揺るがす事態になりつつありますが、練馬区内にも、「姉歯」が設計したマンションがあることが確認されました。
 このマンションは、栄町にある地上5階建て、23戸の分譲マンションで、建築確認を下ろしたのは「姉歯」とともに繰り返し名前が出てきている「イーホームズ」です。区の説明によれば、偽装が確認されたものの、「震度6強程度の地震発生を想定した構造計算において構造強度を満足しており、倒壊の恐れはない」とのこと。その限りでは一安心なのですが、建築の確認・検査にまつわる不正がごく身近にまで広がっていたことには、あらためて深刻な思いがします。
 私は5日の一般質問で、この問題を少しだけ取り上げました。答弁はなんとも弁解がましいものでしたが、そのなかでも、本来法律に義務付けられている建築の際の中間検査、完了検査さえ実施されていない建物が数多くあることが明らかになりました。区が確認を下ろした建物でさえこうなのです。建築基準法は、建築に対する規制法、基準法としては、事実上、抜け穴だらけ、日常的に法律違反がまかり通る無法世界だったということになります。「姉歯」事件は、こうした土壌抜きには考えられないことでしょう。
 「住む」ということが、人間にとっての基本的な権利であること、「住まい」が適切に建築されていくことは地域社会にとっても安全の基本であること。こんなことは考えられてこなかったのでしょう。住む人間の視点ではなく、建てる会社の視点や利便を優先して建築行政は行われてきたのではないか。不信は、ここまで深まっています。

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