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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

大泉第二中をどうする? ~その4~

学校に求められる施設環境は、大きく二つ、①校舎・建物の条件と②運動場の条件とに分かれます。まず、①の校舎や体育館等の建物についてみると、大泉第二中学を建て替える場合に、どの程度の施設規模が必要か。最近の学校施設基準や生徒数推計などをもとに報告書(「都市計画道路と学校施設の整備に関する検討業務」報告書)がはじき出した数字は、
■延べ床面積10,600㎡ 建築面積2階建5,800㎡、3階建4,400㎡
などというものでした。建築面積というのは、簡単にいえば建物が建っている地面の広さのことです。報告書がみずから置いたこの条件自体も検証してみる必要があるかもしれませんが、とりあえずこの数字を前提に、報告書の論理を追ってみます。
大二中の敷地は現在は2万㎡弱ありますが、道路ができると2割減ります。残った土地が道路で4分割されるわけですが、この中に最も広く建築面積を確保したものが下の図の「パターン3」です。

『都市計画道路と学校施設の整備に関する検討業務報告書』2011年3月 より

敷地の中を建て横に走っているのが都市計画道路。黄色く塗られているのが、建物の敷地部分です。道路で区画された4つのブロックのうち最大面積の部分に200mトラックを配置しているのですが、このブロックの中にも建物を建てるパターンで、これだと建物を建てるための用地は最大で8,000㎡まで広がります。ところが、これだけ目いっぱい校舎のために用地を取っても、実は必要な建築面積が確保できない。3階建ての場合で必要な建築面積が4,400㎡なのに4,000㎡しか取れないのです。

2本の都市計画道路を前提にし、かつ、現在の敷地で学校を再建しようというもくろみは、ここでまず最初の大きな壁にぶつかります。そこで報告書はどういう手を考えるか。それが「建築制限の緩和」です。
大二中の敷地は、第一種低層住居専用地域(一低層)に指定されています。用途地域といわれる、都市計画の基本中の基本なのですが、この一低層では建ぺい率は50%、容積率は100%に制限されています。建物を建てる用地が8,000㎡なのに建築面積が4,000㎡しか取れないというのは、この建ぺい率≦50%という規制があるからなのです(8,000㎡×50%=4,000㎡)。う~む、規制があってうまくいかないなら、えぃや、規制を緩めてしまえ!! 報告書は、こう話を進めます。そして実は、道路事業はこの規制緩和に格好のきっかけを与えてくれるのです。 (続く)

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