外環大泉ジャンクション周辺地域での「課題検討会」が“終了”して、もう丸2か月になります。“終わった”ということ自体についても委員の中からは異論・疑問が消えませんが、しかし少なくとも国はいくつかの大きな宿題を残しています。つまり、
・国が最後に示した「対応の方向性(案)」は、換気所の分散・縮小や八の釜の保全などを求める検討会の議論の経過を踏まえておらず、改めて出しなおすべきこと
・今後、具体的な「対応の方針」を検討するにあたって、どういう場で、どういうやり方で地域の方々の意見・意向を反映させていくのかについても、責任を持って示すべきであること
については、検討委員の有志から正式な要望書が出されているだけでなく、区もまた、その必要性を議会でおおやけに確認している宿題です。
にもかかわらず、この宿題が2ヶ月経った今もって果たされない。果たされないままに、年を越そうとしている…慎重に事を進めているとか、関係者との調整が手間取っているといったことなら、年を越すのもやむをえないことかもしれません。しかし、一方では、外環の「早期事業化」に向けた動きが今にも大きく展開しそうな空気も漂い、とても気になります。
11月、東京都は「国の予算編成に対する東京都の提案要求」をおおやけにしましたが、その中には「外郭環状道路の早期着工」として次のように書かれています。
・平成21年度の事業着手に向けて、平成20年度内に整備計画を策定するとともに、測量や用地補償など事業実施に必要な予算措置を講じること。
この「提案要求」から間を置かず、こんな新聞報道がありました。
都の国への要望事業をテーマにした「国と都の実務者協議会」が1日開かれ、都内の外郭環状道路の09年度着工に前向きな意見で一致した。(朝日新聞12.2)
こうした動きを受けて国の来年度予算がどう編成されたのか確認できていませんが、予算編成を焦点に事業化の動きが大詰めに来ていることは確かです。もちろん、予算化の前提は、国幹会議で外環延伸がこれまでの「基本計画」から「整備計画」に格上げされることです。もし国が都と同様に来年度事業着手の方針を固め予算措置も行われているのであれば、逆に国幹会議の開催が近いということでもあります。
しかし…もしそうだとすると、地域や地元自治体から強く、また深く出されてきたさまざまな課題はどうなってしまうのでしょうか。これらの課題に対する具体的な方針どころか、対応の「方向性」すら見定まらない段階で、どうして事業化に向けて走り出すことができるのでしょうか。
外環を整備することの効果や意義を認める人たちは少なくはないでしょう。しかし、みずからの疑念や願いを押しつぶされることは容認しがたいと考える人は、それに負けず多いはずです。国はいったい何を考えているのか、この事態をどう動かそうとしているのか、重大な関心と、さらには警戒心すら持って見守らなければならない時期に来ているのかもしれません。
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