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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

280億円の調節池

 ちょっと前のことになりますが、今月の初めに白子川の比丘尼調節池の見学会に参加しました。白子川が東大泉を抜けて放射7号(目白通り)をくぐるあたりに、比丘尼調節池があります。放射7号を挟んで上流と下流の二つの調節池があり、上流の調節池は露地を掘り下げた形状で普段は「びくに公園」として開放されています。今回、見学したのは下流の調節池です。こちらは大規模な地下構造物となっていて、貯水量も上流の34,400㎥に対してこちらは21万㎥を超えるという巨大施設です。
 都の職員に案内されて地下に降りていきましたが、いやあ、でかいこと…。とにかく最初はその大きさに感心するやら驚くやらだったのですが、しかし、この施設をつくるのに280億円かかったと聞いて頭の中が一気に爆発しそうになってしまいました。
 280億円…たいした額です。区役所の新庁舎(現在の中央館)の建設費用よりも高い…それが、地下のコンクリートの塊に消えている…。
 無駄かと問えば、無駄ではないという答えが返ってくるのでしょう。2001年に完成してから15回ほど水が入ったとか。いや、たとえ水が入ったことがなかったとしても、何十年かに一回の洪水に対する備えなんでしょうから、無駄ということはないのかもしれない…しかし、しかし、です。もっと違った治水の方法はなかったのでしょうか。なにせ280億円です。これだけの経費を使うことを考えれば、いろんなことがやれるだろうにと思わずにはおれません。しかも、この調節池は「河道改修が困難な中流の洪水を軽減して、上流の河道改修を推進するため」(第四建設事務所ホームページ)というのが主たる目的のようです。ということは、「中流」の整備が進めば用済みとなるのでしょうか?
 治水対策としての「ダム」事業のあり方が見直されていると聞きます。調節池も、ある意味ではダムです。そして、まぎれもない大規模公共事業です。「治水」って、なんだろう? つい10年前の事業です。都の事業とはいえ注意を向けないままに来てしまったことに、反省と悔いすら感じています。

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