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韓国・台湾は「植民地」ではなかった!?

7月17日の企画総務委員会で、驚くようなやり取りがありました。「永住権を持つ外国人に地方選挙権を与える」ことを求める陳情の審査の中でのできごとです。私自身はこの委員会のメンバーではありませんが、録音で確認しながらそのやり取りを再現してみます。
   (録音はだれでも聞くことができますし、データで開示を求めることもできます)

選挙管理委員会事務局長
これ(特別永住者)はどのような方たちかということを説明させていただきます。
 日本がかつて、朝鮮半島や台湾を植民地支配していた時期に日本に渡り、そのまま日本で生活基盤を築いた方々およびその子孫が永住することを認められている制度で、いわゆる在日朝鮮人、台湾人です。
A委員
 今、資料の説明の時にですね、日本が韓国や台湾を植民地支配をしたとおっしゃいましたね。
 植民地支配なんかしてないですよ。日韓併合条約というのはしっかりと韓国側も承諾している国際条約ですからね。当時、大韓民国の人たちは日本人ですよ。併合条約に基づいて。
 いろいろお話したいことがありますけど、典型的な例を一つ言うと、ヒトラーのオリンピックといわれたベルリンオリンピックをご存知ですよね。男子マラソンで金メダルを取ったのは、当時日本国籍の孫選手です。韓国の。銅メダルは南選手で、当時国籍は日本だけれども韓国の選手です。植民地支配している国で、奴隷とされている人たちがオリンピックに出られますか。選挙管理委員長、そこは訂正した方がいいですよ。
選管事務局長
ただいまの説明について一部不適切な部分がございまして大変申し訳ございませんでした。
 『第二次世界大戦中に朝鮮半島あるいは台湾等から日本に渡って生活基盤を築いた人々の子孫を含めた方々が認められている制度』
 と訂正させて頂きたいと思います。

公式な議事録ではありませんので、委員の名前はA委員としておきます。このA委員の発言は少なくとも私の認識とははなはだ異なるものですし、A委員の議会・会派内での立場を考えるととても重い発言だとは思いますが、しかし、ここで何よりも問われるべきは選挙管理委員会事務局長の対応です。

■局長は、特別永住者を説明する中で、かつて韓国や台湾が日本の「植民地支配」のもとにあったと発言した。
■これに対して、A委員から「植民地支配なんてしていない」と訂正を求める強い発言があった。
■局長は、韓国・台湾が「植民地支配」の下に置かれていたという自らの発言(説明)が「不適切」であったと認め、「訂正」をした。

この流れを見れば、選挙管理委員会事務局長は、戦前の植民地支配を否定したことになります。日本が韓国や台湾を植民地として支配していたという認識を「不適切」だと認めてしまい、そして、自らの発言を「訂正」してしまったからです。

きわめて重大な問題だと思います。戦後の日韓・日中関係だけでなく、そもそもサンフランシスコ平和条約等で形作られた戦後の国際関係の根幹に触れかねない問題です。

日本政府は、この間、総理大臣の公式の談話という形で繰り返し日本の「植民地支配」に言及してきています。例えば、戦後60年の年の総理談話で、当時の小泉首相はこう言っています。

小泉純一郎内閣総理大臣談話 2005.8.15
…また、我が国は、かつて植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。こうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明するとともに、先の大戦における内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を表します。悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく世界の平和と繁栄に貢献していく決意です。

選管事務局長は、こうした政府見解にすら反する立場をとる結果になってしまいました。「植民地支配」を否定することとなった「訂正」発言を撤回することを強く求めます。

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