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選挙の「手話通訳」、公費は出せない… ~選管からの回答~

選挙のときに手話通訳を公費で配置することなどを求める陳情を、練馬区選挙管理委員会に提出したことは、先にこのブログでご報告しました。

選挙における「手話通訳」の保障を!

年が明けて、選挙管理委員会から回答が届きました。陳情を棚ざらしにせず、きちんと検討し回答を下さったのはありがたいこと。このあたりは区議会の陳情取り扱いのお粗末さが際立ちますが、ただ、その中身は、とくに公費負担の方は事実上の”ゼロ回答”でした。
まずは回答の全文を再掲しておきます。


2023年練馬区議会議員選挙における 「手話」 保障の充実に関する陳情について(回答)

令和4年(2022年) 12月6日付け、2023年練馬区議会総員選挙における「手話」保障の充実に関する陳情について、以下のとおり回答します。

陳情事項1について

陳情
2023年4月の練馬区議会議員選挙において、 候補者が使用する手話通訳者の報酬を公費負担の対象としてください。

回答
各選挙における選挙管理費用については、公職選挙法(以下「公選法」とします) 第262条から第264条に定められており、公選法第262条では「国がその財政上必要な措置を講ずるもの」 、第263条では「衆議院議員または参議院議員の選挙管理費用を国が国庫により負担するもの」、 第264条では「地方公共団体の議会の議員または長の選挙管理費用を該当する地方公共団体が負担するもの」 がそれぞれ限定列挙されており、国や地方公共団体は、その負担項目により選挙管理費用の負担をしています。
陳情にある手話通訳者を含む選挙運動員は、公選法上「原則として、生活の糧を得るために候補者といわゆる雇用関係に立つものではなく、運動員が自発的かつ奉仕的に運動を行うもの」と解されており、その事から、選挙運動は「無報酬」で行うものとされています。
しかし、車上運動員(いわゆるウグイス嬢)や手話通訳者等は、その専門性等を鑑み、無報酬による従事が難しい事例もある事から、公選法第197条の2にて限定し報酬を支払うことができるとされています。
手話通訳者を始めとした選挙運動員に係る費用は、公選法第262条から第264条に定める国または地方公共団体が費用を負担するものに含まれておらず、かつ、公選法第197条の2においても、国または地方公共団体が支払うものとされていない事から、区の条例等により法を超えて独自に費用を負担することはできません。

陳情事項2について

陳情
投票所における手話対応の体制を整えてください。

回答
現状でも、期日前投票所や当日投票所において、コミュニケーションボードや筆談器により、聴覚に障害のある方や失語症等の方への対応をしております。
更に毎選挙、従事する庶務係職員向け手引きに「障害者や介護が必要な方への対応方法」を記載し、手話通訳を必要とされる方だけでなく、障害の有無に関わらずあらゆる方に投票しやすい環境整備をしています。この手引き記載の対応方法は、福祉部門の監修を受け作成しております。
投票所におけるこれらの対応について、「練馬区障害者の意思疎通の促進と手話言語の普及に関する条例」を所管する障害者施策推進課へ、条例主旨を踏まえ対応に著しい不足等がないかを確認した所、「多様な意思疎通手段として、手話だけでなくコミュニケーションボードや筆談といったものも定めており、選挙における対応が直ちに逸脱・不足しているとは言えない。」とのことでした。
選挙管理委員会として、投票の際に手話通訳者を必要とされる方へ、区・障害者サービス調整担当課で行っている「手話通訳・要約筆記派遣事業」をご案内する等の対応を行ってまいります。


選管の考え方を確かめたうえで、改めてこの回答について考えてみようと思います。

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