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「自立」って何だろう

 先週の水曜日、7日に「障害者計画懇談会」が開催されました。自立支援法が施行され、障害者の福祉が歴史的な転換点を迎える中で、自治体は新らしい行政計画の策定を求められています。そのための懇談会です。
 傍聴していて、思わず身を乗り出してしまいました。障害者にとって「自立」とは何か。とても真摯で深い意見が、相次いだからです。


 自立支援法の大きな柱、ねらいは「就労支援」です。もちろん、ここでいう「就労」とは、基本的に一般就労のことです。「健常者」と同様に働くこと、それが「自立」なんだ。そんなメッセージが、法と法に基づく施策と理念のあちこちから、ぷんぷんと臭ってくるのです。でも、本当にそうなの?たくさんの懇談会委員が私と同じ疑問を口にしました。「重度」の障害者にとって、就労に向けたどんな現実的な見通しがあるのか。ハローワークにいって、いったいどれだけ仕事があるのか。「健常者」と同じピッチ、同じ緊張、同じ密度で働ける障害者がどのくらいいるのか。いや、そのことをそもそも障害者に求めることが正しいのか。
 ことは、ノーマライゼーション、あるいは「平等」の基本に関わることです。ノーマライゼーションとは、何よりも、社会が障害をあるがままに受け入れることであり、受け入れられるように社会自身が変わることでなければなりません。障害者が働けるように、町に出られるように、意思表示ができるように、社会参加ができるように、町が、職場が、社会が、変わっていくこと。それ抜きにノーマライゼーションはありえません。ところが、自立支援法やそこに込められた考え方の中には、まさにこの視点がないのです。
 「普通」には働けないかもしれない、税金をおさめる側にはまわれないかもしれない、それでも意思があり、表情があり、伝えるべきメッセージを持ち、関わりの中で生き、自分がいる世界があれば、それが「自立」じゃないか。発言した委員の多くは、そんな風なことを言ってくれていたと聞きました。この思いが、いや目線が、できてくる計画とこれからの練馬の福祉の中に刻み込まれていくことを切に願います。

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