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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

家族介護

 介護保険のサービスのひとつに「生活援助」というものがあります。以前は「家事援助」と言われていたもので、調理、掃除、買い物など日常生活が思うにまかせない人たちのお手伝いをするものです。その「生活援助」のあり方をめぐって、今、トラブル・苦情が相次いでいます。


 練馬区の介護保険の担当課から、「生活援助」の提供実績を資料として求めました。たとえば、こんな数字です。
2005年3月 4001人、53,391時間 ⇒ 2005年12月、3754人、46,888時間
その月に「生活援助」サービスを利用した人数と利用時間、それぞれの合計です。要介護認定者の数自体は、確実に増え続けています。「生活援助」についても、人数・時間数ともふえる傾向が続いていました。それが、ここ半年くらいの間に、人数・時間とも一気に減少に転じたのです。なぜか。
 生活援助は、同居家族がいる場合は『原則として』利用できない。――これは、昨年、練馬区が出した通知の一節です。「給付の適正化」のためだそうです。数字は正直。区の“指導”の効果はてきめんだったということでしょうか。
 もちろん、行き過ぎたケースがなかったとは思いません。しかし、同居家族がいたら「原則」としてだめ、こんなことを言い出すなら、介護保険は何のために生まれたのか。介護に縛り付けられ、介護に疲れた家族、とりわけ「妻」や「嫁」の悲痛な叫びを受け止めるところから、介護保険制度の議論は始まったのではなかったのか。家族がいようがいまいが、一人の高齢者としての尊厳と自立を支えることが介護保険の理念ではなかったのか。日中独居や家族が家事を放棄している場合でさえも、「原則として」利用できないなどと、どうして言えるのか。深い失望と苛立ちを感じさせる事態です。

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