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「自立支援」…何の「自立」?誰の「自立」?

 「自立支援法」に基づく障害者の福祉・医療の大転換が、各自治体の現場で進みつつあります。4月からは、まず、定率1割の利用者負担が導入されます。利用者負担がどう変わるか。ひとつだけ数字をご紹介。

■利用者負担あり 12.6% ⇒ 85.3%

 これは、居宅生活支援サービス利用者(ホームヘルプなど在宅で福祉サービスを使っている身体・知的障害者)のうち、利用者負担のある人の割合を、今回の制度改定の前後で比べたものです。ほとんど負担なし、が、ほとんど負担あり、に変わります。金額は別としても、これだけでも劇的といってよい転換です。
 しかし、落ち着いて考えてみると、なんで利用者負担の導入・拡大が「自立支援」なんだろう?障害者の人たちが、たくさんとは言わなくても、そこそこの収入を得られる仕組みがしっかりあって、利用者負担が障害者の生活――家庭生活だけでなく社会生活も損なうものでないのであれば、わかります。しかし、この「自立支援法」でやっと本格的な「就労」の問題が取り上げられたくらいだから、障害者の生活の経済的な自立はむしろこれからです。利用者負担が、サービス抑制につながらない保障は何もありません。
 利用者負担の導入に当たって、国が「世帯」による負担という考え方を前面に出してきたのも、???です。障害があっても、家族に依存せず生きていこう、経済的にも、いやまずは精神的にも、自立していこうと思っている障害者はたくさんいるのに、利用者負担を支払うために家族に頼らざるを得ない仕組みを導入するなんて、どう見たって逆行です。
 「自立」するのは、障害者じゃなくて、国の福祉予算じゃないか?厚生労働省が、いつも財務省にいびられているのに音を上げて、自前の「自立」した財政を手にしたかっただけじゃないか。そんな皮肉のひとつも言いたくなります。

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