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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

話が違う?

 「大江戸線延伸は練馬区民の悲願」(志村区長)と言われてきました。事実、とくに区北西部の住民の間では、大江戸線の延伸を願う声はたいへん強いものがあります。そして、大江戸線延伸のためにはどうしても230号線の道路整備が必要だ、区長はこうも言ってきました。

 「練馬区では、区北西部の鉄道交通不便地域を解消し、総合的なまちづくりを推進するために、地下鉄大江戸線の延伸、補助230号線整備、沿道沿線のまちづくりを三位一体の事業としてとらえ、区政の最重要課題の一つとして取り組んでまいりました。」(05年2回定例会)
 「地下鉄大江戸線の延伸については、東京都はこれまでも、『導入空間の確保状況等を踏まえて、事業化の検討を進める』としております。したがって、練馬区としては、補助 230号線の事業化に合わせて、東京都が鉄道事業許可の申請をできる状況をつくってまいりたいと考えております。」(03年第3回定例会)

 そして、まさにこの「三位一体」の二つの柱、230号線整備と道路沿道のまちづくりがそれぞれ道路事業の認可、地区計画の取りまとめという形で節目を迎えつつあるこの時期になって、どうも肝心の地下鉄の話が怪しいのです。
 東京都がこの7月、新しい「東京の都市づくりビジョン」をまとめました。「今後、都がめざすべき都市像の実現に向かって、…多様な主体の参加と連携によって、戦略的に政策誘導型の都市づくりを展開する上での基本的な方針を明らかにするもの」という、ちょっといかつい位置づけのこのビジョンは、道路や鉄道などの交通政策の基本的な方針を定めるものです。目標年度は2025年。このビジョンの中に、大江戸線延伸のことがどう書いてあるか。こんな感じです。

・ 快適で利便性が高く、環境負荷の低減に資する鉄軌道ネットワークを実現するため、運輸政策審議会答申第18号(以下「18 号答申」という。)で位置付けられた路線のうち、現在整備を進めている路線について早期の完成をめざす。
・ JR中央線の複々線化、多摩都市モノレールや都営地下鉄大江戸線など、18 号答申の未整備路線・区間の整備について、需要動向や事業採算性、投資効果などを見極めながら検討する。

 えっ?と思いませんか。ここには、大江戸線は「検討する」としか書かれていないのです。18号答申の中では、2015年までに着手すべき路線とされています。練馬区は、この答申を頼りにして、何とか早期に大江戸線の延伸をと主張してきました。ところが、2015年どころか、2025年までの都のビジョンの中で、大江戸線は「検討」とあるだけ、「整備」の方針は書き込まれなかったのです。交通対策特別委員会での質疑の中では、実は、当初は「大江戸線」の文字すらなかったことも明らかになりました。
 これって、話が違わない??? 

「大江戸線の事業化につきましては、平成18年11月に都の副知事が『導入空間となる補助230号線の整備にあわせて、地下鉄の事業化に向け鉄道事業法に基づく許可申請手続を開始するための準備を進めてきた。引き続き努力をしていく』との見解を示しており、区といたしましては来年度に予定されている補助230号線の事業認可取得後、速やかに大江戸線延伸の事業化が図られるよう都に要請してまいります。」(08年3回定例会 環境まちづくり事業本部長)

 区は、こんな答弁もしてきました。この答弁を素直に聞けば、都は「許可申請」つまり事業化に向けて動いていることになります。ところが、出てきたのは「検討」するだけの長期ビジョンです。さて、大江戸線延伸はいったいどうなったのか。都が、方針を変え、約束を違えたのか。それとも、区が区民に間違った期待を抱かせてきたのか。はっきりさせてもらわなければなりません。

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