これはやはり、混乱と言うしかないでしょう。「後期高齢者医療制度」のことです。
「長寿…」とやらにあたふたと呼び名を変えるうろたえぶりは、まだ冷笑してすませればいいような話ですが、たとえば新しい保険証が全国で7万人近くも届いていないという数字を聞かされると、本当に唖然としてしまいます。それまでの国保が世帯単位であったものが個人単位に変わり、一人ひとりに保険証を送付したところ転居不明等で返送されてきたということのようなのですが、しかし、勝手にちがう保険制度に移動させておいて肝心の保険証が届かないというのは、保険者としては大変な失態です。ちなみに、練馬区でも戻ってきた保険証は200枚に達するとのこと。保険証の有無や記載内容で給付をきびしく、細かく管理しようとしてきたのに、その保険証が適切に届かないとすれば、医療保障の根幹が崩れてしまいます。
もうひとつ、法律では、この4月の年金から保険料が天引きされることになっています。しかし、さまざまな事情でこの天引き開始を先送りする自治体が相次ぎ、23区で見るとなんと過半の14区が天引き開始を半年程度、ずらしていることも11日の委員会で明らかにされました。先送りした理由、建前はさまざまかもしれませんが、しかし、準備不足、周知不足、そして理解不足を自治体の担当者がひしひしと感じた結果であることは間違いないでしょう。
いずれにしても、ほんとうに混乱です。介護保険が始まるときもずいぶんと混乱しましたし、障害者の自立支援制度のときはさらに混乱しましたが、今回はそのはるか上を行っています。中止、廃止の議論は、リアリティを失うどころか増してきていると思えてなりません。
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