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政権交代と「外環」

 昨年8月の「政権交代」。その重み、衝撃を最初に実感させたのは、自民党と公明党が成立させた補正予算の「執行停止」でした。そのなかで、旧政権が初めて予算化した外環道の事業費71億円のうち用地買収費など66億円も「凍結」となり、外環道計画を巡る議論は大きな転機に差し掛かった――と見えました。政府も新規着工路線の検証、見直しを口にしていましたし、少なくとも練馬では、外環道計画の見直しは選挙の大きな争点の一つとなり、そして見直しを訴えていた民主党が勝ったからです。
 その「凍結」が、唐突に、そしてなんともいびつな形で“解除”されようとしています。
 9日、国土交通省は「高速道路の再検証の結果と新たな上限制の導入を含めた料金制について」という見解、方針を公表しました。これについては高速道路の料金制度の見直しが大きく報じられていますが、しかし、実はこの料金制度の見直しとセットで、「凍結」されていた路線の整備に向けた予算措置が盛り込まれたのです。外環道については、事業費57.9億円が予算措置されます。
 国土交通省の説明では、これは「新たな国費の投入を伴わない道路整備」だそうです。その意味するところは、有料道路の料金制度の見直しによって浮かせた1.1兆円を原資にしているということです。「高速道路の無料化」をうたった政権がむしろ料金の引き上げに動き、そして「コンクリートから人へ」と叫んでいた政権が、料金引き下げの財源を、深刻な財政事情のなかで新たな道路整備に投じていく。なんとも釈然としない話ですが、しかし、外環道に関して言えば、いちばんの問題は総額1.2兆円を超すこの巨大道路計画に対してメスが入った形跡が見られないということです。
 外環で変わったことといえば、事業主体が国の関与・負担のない「会社施行方式」となったことだけ。民主党が外環事業そのものにに対して積極的であったことは知っています。しかし、たとえば青梅街道インターチェンジについては国会、都議会の何人もの候補が「インターを白紙に」と訴えて当選しましたし、大泉周辺の環境対策についてもこれまでの国の対応では不十分であるという住民の声を、民主党は受け止めてきたはずです。事業の効率化、住民合意の促進といった視点からも、何らかの事業計画の見直しをたくさんの人たちが期待していました。なのになぜ、ただ事業主体を変えるだけ、計画そのものには手を触れないままに、「凍結解除」なのでしょう?
 民主党と政府は、計画の見直しのないままに、いや、計画見直しの必要性すら触れないままに、外環事業を進めるという立場に立ったのでしょうか? 民主党は、説明しなければなりません。

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