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山西省の女性たち

 15日、石神井公園の区民交流センターで『中国山西省の女性たちの声』というドキュメント映画の上映会がありました。製作者の班忠義さんには、以前、中国帰国者・家族のための日本語教室などでお世話になったことがあり、懐かしい気持ちも込めて、見に行きました。
 映画は、山西省に住む女性たち--戦時下、日本軍の性暴力の被害者となった女性たちの証言を中心につづったものです。当事者の証言と、関係者と関係した施設や村々をたどるカメラが描き出すものは、「慰安婦」といった言葉ではとうてい表現しきれない強制的で暴力的な加害・被害の状況です。けれど、それ以上に、そうした経験を深い痛みと怒りとして抱え込んできた女性たちの「感情」が、見るものに迫ってきます。それは、はっとさせられる経験でした。
 靖国神社への参拝を繰り返す小泉首相は、内外、特に中国からの批判に対して、「参拝は個人の感情の問題だ」と言い放ちます。しかし、誰も、他人の感情を深く傷つけるような鈍感さと傲慢さを、「個人的な感情」として正当化することはできません。
 靖国神社は、個人的な慰霊や追悼といった世界をはるかに超えて、たとえばこの映画に登場する中国・山西省の女性たちが受けた経験に対してどう向かい合うかという問題と分かちがたく結びついています。彼女たちを襲い、辱めた戦争は、靖国神社においてためらいもなく美化され、そしてその戦争を指揮した軍の最高責任者は、まさに今、靖国神社で神と祭られている人でもあるのです。
 靖国神社の参拝は、どんな意味でも「個人」の「内面の問題」ではありえません。あらためて、小泉首相の発言と行動がどれだけ深く中国の人々を傷つけ、重ねて傷つけているかを痛感します。 
 問われているのは、この国の節操であり、きわめて原初的な倫理観と責任感ですらあります。恥じなければならない。

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