Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

“官製ワーキングプア”になぜ踏み込めないのか?

 一般質問の質疑から、いくつか紹介していきます。最初は、“官製ワーキングプア”が関心を集める中、「委託化」の下での労働条件のあり方について。

 三原台温水プールでの事業者倒産は、たくさんの労働者の突然の解雇、そして賃金不払いという事態を引き起こしましたが、それは、委託先での労働条件の管理を事実上、事業者に任せっぱなしにしてきた区のこの間の姿勢、対応を鋭く問うものでした。こんな質疑になりました。

池尻 練馬区として、委託先または指定管理者における適正な雇用管理や人件費の支出、ひいては公正で人間的な労働条件を確保していくために、指定管理の基本指針やモニタリング実施要領などを改訂・補充していくべきと考えますが、いかがでしょうか。
企画部長 区立施設の管理委託にあたっては、サービス水準を維持していく上で、業務従事者の労働条件の法令遵守も重要な要素の一つであると考えております。
従いまして、指定管理施設での専門家による労務監査の試行など、モニタリングの更なる充実を検討しているところであります。

 モニタリングの見直しに言及したことは一定の前進ですが、それにしても、なんともおずおずとした変化です。「サービス水準を維持していくうえで」もそうだけれど、なぜ「公正な(人間的な)労働条件」について考えようとしないのか。「法令順守」も大事だけれど、では、突然の解雇は法令違反なのか。最低賃金ぎりぎりの賃金は法令違反なのか。パートや非常勤などの不安定雇用は、法令違反なのか。いやいや、それらは、ある意味で“合法的”に広がってきたのです。「法令順守」だけでは、雇用・労働条件の管理・指導としては決定的に不十分です。
 一般質問でも詳しく紹介したのですが、お隣の板橋区は、この9月に指定管理に関する指針などを改定し、委託先従業員の適正な労働条件の確保のために踏み込んだ対応をとりました。「非正規労働者等不安定雇用の増加が社会問題化し、効率性を求めて民間委託を拡大してきた国や地方公共団体にもその責任の一端があるとの議論が各方面でされている」ということを率直に受け止めた、なかなか興味深い対応です。比べることは本意ではないのですが、しかし、比べてみたくなる彼我の違いです。

 板橋区の動き、ぜひご覧になってみてください。
     ➠板橋区「指定管理者制度運用に関する指針」について

コメント