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学校選択制

 区立中学校の選択制がはじまったのは、2005年度です。早、7年目に入ろうとしているわけですが、来年4月入学の子どもたちを対象にした選択制度の公開抽選結果が区のホームページで公表されています。抽選になったのは、中村、光が丘一、光が丘二、光が丘三、石神井、石神井東、大泉学園の7校です。去年は抽選だった大泉中と大泉第二中、それに関中は、施設面で選択枠を設ける余裕がなくなり、今回は選択の対象自体から外れています。
 それにしても、ホームページに並ぶ当選番号リストを見ていて、ちょっと寒々とした気分になりました。公立中学の入学で選抜を受ける。学力ではないけれど、選抜される。受かれば喜び、そして落ちれば泣く…。
 選ばれた学校があれば、選ばれなかった学校もある。今回の選択結果では、区域外から100人を超す入学希望があった学校が4校ある一方で、40人の受け入れ枠を設けながら実際には一桁台の希望しかなかった学校も9校あります。選ばれなかった学校は、そのことをどう受け止めればよいのか。受け止めたとして、何ができるのか。中には、選択制で区域内の子どもが“流出”することと合わせ、学年複数学級の維持が危ういのではないかと危惧される所さえあります。そこまでいかなくても、子どもたちの多くが区域外からという事態が生まれ、学校と地域との一体感がどんどん希薄になっているという声もしばしば聞きます。選択制が、学校の教育環境の根幹をさえ揺さぶっています。

       ➠区立中学校学校選択制度(区のホームページより)

 ほんとうに指定校以外の学校に行くべき理由がある人は、きちんとそれを保証する。それは、これまでもいわゆる「8条申請」の中で対応してきたし、かなりの程度まで対応できることです。そして、他校を選択する理由が、施設環境の良しあし、部活の条件、教員の資質等々、要するに各学校に対する評価や評判から来ているのであれば、学校間の格差を解消するための努力にまずはしっかり取り組むべきです。義務教育の公正、平等という視点からは当たり前ともいえるそうした努力がなされずに、学校を選ばせる。「選ぶことができる」という言い方ももちろんできますが、しかし、選ぶことができるということは選ばれる、そして落とされるということでもあります。落ちた子どもたちの喪失感と失望感を、誰がどう解きほぐしてくれるのだろう…。
 競争と格差が大手を振るって社会と政治を跋扈(ばっこ)した時代がありました。学校選択制も、そうした時代の産物のひとつです。もっと腰を落ち着けて、地域で、地域の皆さんと、誇れる、そして愛すべき学校づくりを進めていきたい。何より、大きく広がった学校間格差と正面から向き合い、どの地域のどの子も、同じように笑顔と充実感を持って学校生活を送れるようにしてあげたい。
 私は、「学校選択制」をやめてみたいと思っています。

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