Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

外環PIの、本旨が疑われる

 外環道の大泉ジャンクション~東名間の延伸計画は、PI方式を取り入れた初めての試み…だそうです。国土交通省外環調査事務所のホームページには、こう書かれています。

 「PI」とは、「Public(パブリック=市民) Involvement(インボルブメント=巻き込む)」の略で、日本語に 言い換えると「住民参画」「市民参加」の意味になります。
「東京外かく環状道路(東名高速~関越道区間)」については、国内で初めて、 高速道路の構想段階からPI方式を活用し、広く意見をお聞きしながら検討を進めています。

 このPI、実際の手法はいろいろあるようですが、その中でももっとも重く、かつ公的な性格の強いものが、沿線数か所で開催されている「地域課題検討会」です。大泉ジャンクション周辺地域でも、この3月から開催されてきました。
 この地域課題検討会、その趣旨はこんなふうに説明されてきました。

 大泉周辺地域の課題は多岐にわたるため、国土交通省・東京都・練馬区は、本地域の個別課題の詳細な検討を行う前に、課題の整理及びそれぞれの対応と検討時期等の検討を行い、「課題解決に向けた対応の方針」を検討する。
 対応の方針の検討にあたり、行政は地域住民の意見を尊重し、その意見を反映するため、「地域課題検討会」を設置する。
    (「大泉ジャンクション周辺の地域課題検討会」設置方針 1.設置目的)

 「地域住民の意見を尊重し、反映する」…これが、地域課題検討会の目的…とすれば、いったい先日13日の第4回検討会で国などの主催者が出した「対応の方向性(案)」という文書は何だったのでしょう?


 それまでの3回の検討会で、委員からは様々なテーマでさまざまな要望・提案が出されていました。ところが、どうも、主催者は、自分に都合のよいところだけつまみ食いしたようです。委員からの意見・提案の中でも、その重み、影響、委員の思いの強さなどからすれば当然、第一に踏まえられるべきもの、たとえば八の釜湧水の保全(移設や代償措置ではなく)、あるいは換気所の分散・縮小といったものが切り捨てられてしまっているのです。
 こりゃあ、ひどい。これじゃ、「意見が尊重、反映された」なんて思えるわけがない。何のために貴重な休日に、何回も、しかも長時間にわたって会議に出てきたのか!!! そんな怨嗟さえ聞こえてきそうな代物です。
 検討会の翌日、所管の交通対策特別委員会があり、私もこの問題を取り上げました。とくにはっきりさせたかったのは、いったい練馬区は、この「対応の方向性(案)」を了解しているのか、ということでした。というのも、練馬区は、外環を大深度地下方式にするなどの都市計画変更に同意する際に、33項目の条件を付し、これらについて「事業に至るまでの間、事業中、事業後の各段階において、検証することを前提」にしました。そして、この33項目の中には、たとえば換気所について「施設の縮小化」や「換気所を必要としない技術開発」なども含まれているのですが、こうした内容は13日に出された「対応の方向性(案)」にはまったく、これっぽっちも触れられていないのです。どう考えても、二つに一つ。つまり、国が区長の意見を無視して「対応の方向性(案)」をまとめたか。あるいは、区が、自分たちが出した意見を早々と取り下げたか。
これについて、委員会では都市整備部長からこんな答弁がありました。 

私どもは、(案)は、国が勝手にとらえている(案)であるととらえている。私どもは、「対応方針」を出した時に33項目に内容が合致しているかどうかは検証していきたい。手順としては、区としては「対応の方向性」までまとめられた時点、昨日参加された方々も含めてこれで良しとするのかしないのか、検証したうえで、私どもも対応を図っていきたい。

 また、こんなやりとりもありました。
◆池尻 「対応の方向性」についても改めて検討して出してもらいたいと、そういう趣旨でよいのか。
◆都市整備部長 そのとおり
 つまり、国は、区長意見すらないがしろにして「対応の方向性(案)」を、「勝手に」まとめたというのです。検討委員の意見も無視、区の意見も無視…よく国は、こんなことができるなぁ。これでは、PIの本旨が疑われてしまいますよ。

コメント