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壊れた脳 生存する知…

 28日の午後、「高次脳機能障がいを知る講演会」に参加しました。主催は、光が丘障害者地域生活支援センター「すてっぷ」。光が丘区民センターの会場は、150人ほどの参加者であふれるばかりです。どういう皆さんが参加されたのかよくわかりませんでしたが、しかし「高次脳機能障害」がこれだけ多くの人の関心と注目を集めるようになったということはそれだけで感慨深いことです。
 そして、おそらくは「高次脳機能障害」を広く社会に知らせていく上でもっとも大きな貢献をなさった方のひとりだと思われるのが、講師の山田規畝子さん。3度の脳出血を繰り返す中で高次脳機能障害の当事者となり、そして当事者としてこの障害を見、感じ、生きてきた経験を文字にし、言葉に代えて来た方です。この日は、高松からわざわざ上京されたとか。
 「社会とかかわる障害者の生活を作っていくことが大切」「生きているかぎりよくなっていく」「記憶の植え替え」「障害によって失われた脳機能の調和は、経験によって取り戻せる」「脳は病院ではなく暮らしの中で学習する」「普通に暮らすことがリハビリの究極の目標」「やってあげるのではなく、失敗を恐れないようにしてあげることが大事」…自ら医師であるという専門職としての確信が生む強さ、生来の?前向きの姿勢と明るさには感嘆させられます。
 講演のタイトルは『壊れた脳 生存する知』。山田さんの著書から取ったタイトルです。なるほど、それ自身はひとつの物質的な存在である「脳」が「壊れる」ことによって、認識、感覚といった「知」がどのように歪められ、あるいは失われ、そしてまた取り戻されていくのか。一人の当事者の生き様、リハビリの在り方といったテーマだけでなく、科学的な解明のテーマとして、あるいは「人間とは何か」という問いかけとして、なんだかとても刺激的な会でした。

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