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「特定健診」、受けましたか?

 「特定健診」、受けましたか?
 今年度から健診のシステムが大きく変わりました。昨年度までは、30歳以上のすべての練馬区民を対象に、練馬区みずから「生活習慣病健診」を実施してきました。これに対して、新たに始まった「特定健診」は、区(行政)ではなく、医療保険者が実施することとされています。国保の被保険者は国保の、社会保険の被保険者や家族は社会保険の実施する健診を受けます。ところが、この特定健診、実施主体が変わったというだけでなく、検診の内容もそれまでの行政健診とずいぶん違うのです。たとえば

・年齢は40歳~74歳。したがって、30歳から39歳の人、75歳以上の人は健診を行わなくてもよい
・検査項目も、基本検査と詳細検査の二段階に分けられ、全員が受ける基本検査には、これまで行政健診で実施されてきた眼底検査や心電図、X線検査、血液検査のうちの貧血検査などは含まれていない

といった具合です。また、自己負担金についても、国はこれまでの行政健診の実態とかけ離れた負担基準を示してきました。
 検査の範囲、対象者、あるいは自己負担という点では、特定健診は間違いなく旧来の行政健診の水準を引き下げるものになってしまいます。しかし、制度が変わったからといって簡単に引き下げてよいのか。議会でも議論になり、さすがに練馬区も考えました。
 上に書いた特定健診の対象や範囲などは国が示した基準であり、それぞれの保険者がこれに必ず従わなければならないというものではありません。しかし、この考え方に基づいて保険料からの拠出が認められるだけでなく、国や都からの負担金が出ることになりますから、健診の対象を広げたり項目を増やしたり、あるいは自己負担を抑えようとすれば、それは基本的に区の税金でやるしかありません。
 結局、練馬区は、税金を投入して、30歳代を対象とした健診を別に実施し、X線検査についても特定健診ではなくがん検診の枠で引き続き実施することにしました。区が保険者として実施する国保の特定健診自体についても、検診項目も旧来と同様のものとし、自己負担も昨年度までと同様の300円に抑えました。つまり、少なくとも国保の被保険者については、これまでの生活習慣病健診と同程度の健診が受けられるということになったのです…問題は、特定健診の上乗せ措置が国保の被保険者に限ってしか適用されないということです。
 そうなんです。国保の被保険者はそれでいい。では、国保でない人たちはどうなる? 社会保険などの加入者の検診内容は、それぞれの保険組合などが決めることになります。当然、税金も入りません。これまでの行政健診と同様の負担、検査内容が約束されているわけではまったくありません。30歳~39歳の人の健診やがん健診についても、国保に限らず全区民が受けられるとはいっても国保以外の人は特定健診と別枠ですから、周知も、受診の便宜も、格段に差がつきます。
 国保の特定健診経費7億9500万円のうち一般会計からの繰入は4億8600万円、6割に達します。練馬区民で見ると、ほぼ4割が国民健康保険の被保険者で、他は社会保険や共済組合の加入者・家族になります。つまり、区民の10人に4人だけは、多額の税金投入でこれまでと同様の健診を受けられるのに、10人に6人は、そうでないかもしれない…。

 予算の「区民費」のところで、特定健診の問題を取り上げました。「社会保険の人は、国保被保険者と同程度の負担で、同程度の水準の健診を受けられているのか?」と。答弁は、「国保以外は実情を把握していない」というものでした。唖然! 練馬区は、いつから国保の被保険者のことだけしか考えなくなったのでしょう? つい去年までは区自身が健診を実施していたたくさんの区民が、新しい制度の下でどのように健診を受けているか、受けられないでいるかきちんと追うことは、区の責務でしょう。区が、多額の税金を国保の被保険者向けに投入していないのならまだわかります。そうではないのです。「なぜ国保だけが税金で高い水準の健診を受けられるのか?」――社保の人からこう問われたら、なんと答えるのでしょう? 
 属する社会保険で健診サービスの水準、検診項目や自己負担が大きく違う、しかもそれが公費投入によって支えられているとしたら、制度間の不公平という問題すら生じかねません。社会保険の被保険者や家族の方、皆さんの「特定健診」はどうでしたか。ぜひ教えてください。

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