Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

国保の明日が見えない

 27日の区議会区民生活委員会で、4月からの国民健康保険保険料についての報告がありました。1人あたりの平均保険料は86882円、予定されている新しい保険料は、均等割が37200円に対して、所得割は94/100となっています(介護保険料分を除く)。問題は、この所得割です。
 平均保険料は、今年度が85900円でしたから、若干の値上がりになります。ところが、今年度の所得割率は117/100でした。ということは、保険料率でみると、ほぼ2割も下がっています。ん? 所得割の料率は大幅に下がったのに、保険料はむしろ上がるのはなぜ??
 ここにはとても大きな問題が潜んでいます。一昨年から住民税の税率が一律10%に変更になり、所得の少ない方は住民税の負担が一気に跳ね上がりました。国保の保険料のうち所得割は、住民税額に料率をかけます。放っておくと、住民税の引き上げがそのまま国保の保険料引き上げに跳ね返ってしまい、これではさすがに大変だと、この2年間、住民税額に特別に控除を認める激変緩和措置が設けられてきました。対象者は約8万人。国保被保険者の4割近くになり、軽減された保険料は20億円にも上るとか。
 実は、この軽減措置が今年度いっぱいで廃止されようとしているのです。つまり、こうです。軽減措置が廃止されるために保険料を賦課する元になる住民税額が一気に増える。したがって、全体の保険料率を下げても、保険料収入自体は確保できる、と。しかし、これは、軽減措置を受けていた8万人近い人たちにとっては大幅な保険料引き上げになる一方で、軽減措置の対象ではなかった人たち、つまり高額な所得のある人たちは保険料の軽減になってしまうということでもあります。
 貧しいものにはより多くの負担を。富めるものには、より少ない負担を――こうしたことが、社会保障の制度「改革」の中で繰り返し繰り返し行われてきました。もはや否定のしようのないほど広がった社会的格差は、まちがいなくこうした「改革」の一つの結果でもあります。またぞろ、同じことをやるのでしょうか? 保険料滞納がどんどん広がり、制度の骨格が崩れかかってさえいる時に、こうしたことを繰り返していてよいのでしょうか? 国保の明日が見えません。

 国保保険料は、条例で決まります。13日から始まる定例区議会で、今回報告のあった内容を実施するための条例「改正」案が提出されるはずです。大切な議案です。

コメント