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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

保育所の「倒産」

 株式会社エムケーグループが経営破たんに陥り、運営する29ヶ所の保育所・学童クラブの閉鎖を発表しました。閉鎖された保育所には認可保育所もあり、また、都内では中野区の認証保育所や学童クラブが含まれています。高齢者介護の世界では「コムスン」の破綻と大規模な事業所閉鎖が大きな社会問題となりましたが、今度は子育て施設です。
 
 それにしても、ぞっとする事態です。子どもを預けていた保育所が、経営者の破綻や倒産で突如、閉鎖される…明日の保育はどうするのでしょう。明日の仕事には、行けるのでしょうか。
 しかし、こうした事態こそ保育における「規制緩和」が呼び起こしたものです。保育など第二種福祉事業が「営利企業」にまで門戸開放され、さらには、保育所の土地まで自己所有でなくてもよいとされる中で、さしてしっかりした基盤もない企業が、短期的な経営上の思惑で保育に参入するケースが相次いできました。それは、最初は認可外から始まり、やがては認可保育所にまで広がってきました。
 練馬でも、例外ではありません。区みずから公立保育所の企業委託に走る一方で、企業立の認可保育所を積極的に誘致もしてきました。認可保育所の不足を埋める形で都がてこ入れして増やしてきた「認証保育所」に関して言えば、大半が企業立です。
 練馬区も含め、ほとんどすべての自治体が、企業が経営することによって当然生ずるさまざまなリスク、その最たるものが「倒産」ですが、そうしたリスクを軽く軽く描き出し、子どもたちの大切な保育を市場、いやそれどころか利殖と投機の場にさらしてきたのです。

 エムケイグループが運営してきた保育施設は、「ハッピースマイル」という名前だそうです。「ハッピースマイル」の突然の閉鎖は、しかし、決して予想されなかったことではありません。また、他の企業立の保育施設で同様のことが起こってくる恐れも、決して小さくはないでしょう。「規制緩和」だ、「門戸開放」だと浮かれてきた政治家や役人たち、浮かれないまでも易々と追随し太鼓持ちを買って出てきた人たちは、深刻に、真剣に、みずからを省みるべきです。

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