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保育園「委託化」を考える その3

 経費の話に入る前に。

 先週の金曜日、09年4月の委託予定園とされた豊玉第二保育園の説明会を聞かせてもらいました。現在の定員45人という小ぶりな保育園ですが、たくさんの保護者の方が出席、切実な、ときに憤りを押し隠しながらの発言が続きました。皆さんのお話を聞いているだけで、あらためて「委託化」の持つ辛さ、むごさというものを感じる、そんな説明会でした。
 この保育園の場合に特に深刻なのは、「委託化」が新しい園舎への引越し、そして大幅な定員増とセットになっているということです。豊玉第二保育園は都営住宅の中に併設されているのですが、この本体の都営住宅が老朽化、都は建替えの意志がなく、区が譲渡を受け区の責任で建替えることになりました。そのため、保育園は工事期間中は練馬駅北口の区有地に仮設園舎を建てて移転し、09年4月に戻ることになっていたのですが、このときにあわせて委託を開始するという話が飛び出したのです。定員は76人と7割増。引越しと定員増と委託がセットになった計画に、保護者の不安はいやがうえにもつのります。
 ところが、話はさらにとんでもない方向に展開します。本体の都営住宅の設計に対して近隣の住民から反発があったということで、区は6月に入って4階部分の住宅5戸を取り除く設計変更の方針を決め、そのために設計スケジュールが大幅にずれ込み、新園舎への引越しが年度途中の9月過ぎになりそうなのです。
 4月に委託開始、そして9月に引越しとなれば、引越しに伴う負担が委託業者に一手にかかるというだけでなく、さらにそこに年度途中の定員増が重なり、秋からの行事や保育への影響など本当に心配です。
 近隣の方の心配事はプライバシー問題が中心とか。こうした理由で住宅のフロアを1階取り払うような設計変更は、建築の世界ではきわめて異例です。よほどの事情があったのでしょうか…。区は「近隣との良好な関係を配慮した」と言います。それならうちも、それならこの建物も、と思う区民はきっと無数にいるでしょうし、これだけ公営住宅の入居希望が殺到している時期に5戸の削減はそれ自体、重い決断であり、これはこれで、しっかりと検証する必要がありそうです。しかし、たとえこの設計変更が必要で正しいことであったとしても、設計変更のつけを保育園、保育園に通う子どもたちや保護者にまわすことは決して許されることではありません。
 保育園には直接、かかわりのない事情で生じた重大なスケジュール変更が保育に大きな影響を与えることが予想されるならば、それだけでも豊玉第二保育園の委託化計画はただちに白紙に戻すべきです。

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