昨日今日と、関西へ視察。帰ってきたら、中村哲医師の新著、『天、共に在り』(NHK出版)が届いていました。
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もう7年も前になります。NHKの『知るを楽しむ この人、この世界』という番組で、2か月にわたって“哲さん”のことが紹介されました。1946年に福岡に生まれ、医師となり、それがなぜはるかアフガンで、井戸を掘り、用水路の建設に命を注ぐようになったのか。『知るを楽しむ』は、中村哲という人を知るためにとてもよくできたシリーズでした。その後、“哲さん”のたたかいは用水路の建設と砂漠の緑化というとてつもなく大きな挑戦へと展開していきます。この新しい本は、『知るを楽しむ』の番組テキストを土台にしながら、それ以後の動きも含めて大幅に加筆して出来上がったものです。
「天、共に在り」
本書を貫くこの縦糸は、我々を根底から支える不動の事実である。やがて、自然から遊離するバベルの塔は倒れる。人も自然の一部である。それは人間内部にもあって生命の営みを律する厳然たる節理であり、恵みである。科学や経済、医学や農業、あらゆる人の営みが、自然と人、人と人との和解を探る以外、我々が生き延びる道はないであろう。それがまっとうな文明だと信じている。その声は小さくとも、やがて現在が裁かれ、大きな潮流とならざるを得ないだろう。
これが、三十年間の現地活動を通して得た平凡な結論とメッセージである。
「終章 日本の人々へ」の一節です。練馬に何度も来てもらった、そしてたくさんの人を引き付けた、中村哲という人の魅力が生き生きと伝わる一冊になっています。ぜひ手に取ってみてください。
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