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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

ムーアとイラクと自衛隊

 「僕は、二度と許したくないんです。誰かの命令であそこに送り込まされて、貧しい人たちを殺すなんて。彼らは、僕にも、僕の国にも、脅威なんて与えていない。絶対、いやです。」 
 マイケル・ムーアの『華氏911』のDVDを借りてきて、観ました。その中で、米軍の若い伍長がこう語ります。
 「あそこ」とは、もちろん、イラク。もう一度召集されたらどうするか、と問われて、この帰還兵である伍長は、刑務所に入れられたとしてもイラクに行くのは「いやだ」と言います。静かだけれど断固とした口調で。米国の中から発せられる、これ以上に深刻な反戦の言葉はない。この映画が描き出すブッシュ大統領の軽薄さと俗物さとは対照的に、米国社会の中に広がりつつある鋭い亀裂と深い自省を、この伍長の言葉は象徴的に伝えています。
 それに比べて、イラクでの戦争とイラクへの「自衛隊」の派遣に対して、私たちは、あまりに軽々しく、思慮のない態度をとり続けていないか?ブッシュの詭弁をそのまま引き写したような日本政府の強弁に、あまりに寛容ではないか?
 年が明けて、とうとう、練馬に駐屯する自衛隊員がイラクに派遣されます。練馬区民でもある彼らに、自らの生命を失い、あるいはイラクの人々を傷つける危険を侵してまでイラクに行けということを、私は言いたくない。区民の生命と権利を守るべき責任の一端を負う一人の議員として、言うことはできません。
 それにしても、今になってやっと初めて観た『華氏911』は、なかなかショッキングでした。そのすべてが真実だ、正しい視点だなどと思わなくても、既成の観念や常識や権威をぶち壊すだけの事実の力は、間違いなく、そこにあります。こんな映画を作る方も、受け入れる社会も、ちょっとうらやましい…

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