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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

マンションバブルの爪痕

 関町南1丁目の青梅街道沿いに、はるか見上げる高さにまでブルーシートで覆われた異様な建物が立っています。
 実はこれ、ダイア建設が建てた分譲マンション「ダイアパレス上石神井Ⅱ」です。いや、正確に言うと「建てた」ではなく「建てている」、いやいや「建てている」ではなく「建てていたけど途中でやめてしまった」マンションです。躯体はかなり高くまで立ち上がっていますが、何しろもともとの計画は高さ44mの14階建て。最上階まではたぶん行っていないでしょう。内装はもちろん、壁もしっかりついておらず、打ちっぱなしのコンクリートがあちこちでむき出しといった有様がブルーシートの隙間から見え隠れしています。
 工事が止まった理由は、施工業者であった三平建設が昨年7月に、そして建築主であるダイア建設も12月に、倒産してしまったからです。どちらも「民事再生」の手続きに入っているようです。
 幹線道路沿いのまとまった空地を見つけては大規模マンションを計画する。ここ何年か、そんな動きが際立っていました。昨年2008年の3月に練馬区がほぼ全区で絶対高さ制限を導入したこともあり、特に一昨年は“駆け込み”計画も目立ったようです。このダイアマンションの場所も、今なら高さ30m、せいぜい10階が限度です。ちなみに、建築確認は2007年の5月ですから、着工は高さ制限導入の半年前。今となっては、こんなに大きなマンションに手を付けたことを当の施主ですら後悔しているかもしれませんが、頑強なコンクリート塊と無粋なブルーシートは、取り除こうにも除けません。
 現場に残された標識には今年5月完了予定とありますが、おそらくはもう1年位も、工事は止まったままでしょう。未完の工事は、ときに廃墟以上に寒々としたものです。今後、再び工事が始まって、予定通りの建物が建つのかどうか。はっきりした見通しは今のところ示されていません。建てば建つで、近隣の住環境とかけ離れたその異様さは今や際立つばかりでしょうし、建たないなら建たないで、しっかりと除却され新たな計画が固まるまでは近隣にとっては良い迷惑、不安の種に違いありません。
 近隣の皆さんや地域の住環境に爪痕と犠牲だけを残すといったことにならないように、しっかり監視していきたいと思っています。しかし、それにしても…それにしても、青梅街道の見事なケヤキ並木が泣いている…

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