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なぜこの金額か? ~区長会の「中国旅行」~

 区長会などが30年にわたって続けてきた、「日中友好交流事業」という名の中国旅行。私が今回、監査を請求した2つ目の理由は、その支出額が理解を越えているからです。
 2012年度の訪中団派遣については、事業計画では800万円の予算が組まれています。2年前までは1000万円の予算でしたが、2011年度から見直されました。ちなみに、訪日団の受け入れの際はかつては1500万円、現在は1200万円の予算が組まれています。また、区長会等が訪中の時は議長会が訪日団受け入れ、区長会等が訪中団を受け入れるときは議長会が訪中という形で組み合わされており、首長、議長合わせるとかつては2500万円、現在は2000万円の予算ということになります。30年続いているわけですから、予算ベースでの合計は5億円を超えるのでしょう。半端な額ではありません。
 もっとも、予算はかなり使い残しがあるようです。「ようです」と書いたのは、決算がどこにも公表されていないからです。今回、ようやく2010年度と2011年度の事業実績報告書を手に入れたのですが、それによると決算額は2010年度の訪中時が6,137,252円。2011年度の訪日団受け入れが7,581,224円となっています。問題は、なぜこんなにかかるのか?ということです。
 2010年度の訪中団の旅程は、前回の記事で紹介したとおりです。行政機関の視察を除けば、ごくありふれた中国観光旅行のコースです。訪中団は、事務局の随行員、通訳も合わせて9人。単純計算で1人68万円の旅(6,137,252円÷9人)の旅ということになります。5泊6日です。「高い」と思いませんか?
 いやいや、ビジネスクラスを使って高級ホテルに泊まれば、そのくらいかかるかも…と言われるかもしれません。公金を使った旅行でそんな贅沢をする必要はないのですが、百歩譲って、ビジネスクラスと高級ホテルだったとしても、実はこの金額、全く説明がつかないのです。
 区長会が毎年発行している『友好交流のあらまし』という冊子があります。「友好交流事業」の報告集のようなものなのですが、この中にこんなことが書いてあります。

 「事業経費については、派遣側が国際旅費を負担し、受入側が滞在に要する費用を負担する」

 つまり、訪中する際で言えば、こちら側が負担するのは北京までの往復旅費のみ。中国国内での滞在費はすべて中国側が負担するというルールになっているというのです。では、いったい600万円を超す経費は何に支出されたのでしょう??
 実績報告書――私が入手できた、そしてこの事業に関しておおやけに作成されたらしい唯一の報告書には、ごく簡単な支出内訳しか載っていません。それによると、旅行自体にかかる支出は「旅費」661,945円と「委託料」5,100,199円。「委託料」は「旅行業務委託料」4,490,199円と「通訳委託料」610,000円という内訳が記載されているだけで、それ以上は何も書いてありません。
 「旅費」は、公務員が出張した際などに支払われる宿泊費相当分でしょうか? 中国側が面倒みているのに、何で支払われるんでしょう? 「通訳委託料」、1日10万円を超えていますが、これは宿泊費も含むんでしょうか? 含むとしたら、「旅行業務委託料」は残り8人分、1人50万円を優に超えます。いったいこの大金は、どこに消えたのでしょう?
 私が想像のつかないところで、もしかしたら、誰もが納得できる支出が行われたのかもしれない。そう考えもしましたが、具体的な使途が思い浮かびません。そして、旅行に行った人たちは自ら説明を拒み続けています。監査を請求するしかないと、私が判断した理由です。(さらに続く)

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