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すずしろの郷 その5

 なぜ杏稜会のような法人の設立が認められたのか。なぜ杏稜会のような法人に、多額の補助金が交付されるようなことになったのか。
 一つのヒントがここにあります。

「…老人保健施設の整備促進を図る観点から、病院又は診療所の開設に支障があるが、老人保健施設のみの開設は可能である場合、老人保健施設のみを開設する医療法人の設立を認可し…ても差支えない。」(老人保健施設の開設を目的とする医療法人の設立の円滑化について1991.10.23)

 医療機関の運営実績のない法人であっても、いきなり老人保健施設の開設を目的に設立することができる。この通知は、安定した基盤も、実績も、信頼性もない形ばかりの法人が、多額の補助金を当てにしながら介護保険施設に参入していく道を開いたものでした。そしてこの通知は、まさに杏稜会とすずしろの郷に当てはまります。介護施設の整備に関する大きな「規制緩和」の流れの中で、杏稜会は日の目を見、そしてすずしろの郷の混乱と破綻が準備されたのです。
 介護保険制度の発足を控え、立ち遅れる施設整備を進めるために安易な規制緩和に流れ落ちていく国。その国の動きに追随し、乗りながら、法人と施設の認可に走った都と区。すずしろの郷の問題は、構造的な背景のなかから生まれ、これまでと今後の介護・福祉の基盤整備のあり方に対して大きな教訓を投げかけています。

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