3日間の一般質問が終わりました。11人が登壇、もっとも多くの議員が取り上げたのは、やはり光が丘病院問題でした。自民党は4人質問に立ったにもかかわらずなぜか一人も触れませんでしたが、他の会派はほとんどが質問しました。そして、光が丘病院問題に次いで目立ったのが、「としまえん」です。としまえんと言えば花火、しかし、花火ならぬ火花がはげしく飛びました。区、区議会与党と都との間にです。
きっかけは、東京都がまとめた｢都市計画公園・緑地の整備方針｣改定案です。都市計画公園の中長期的な整備方針をまとめたもので、これから10年間にわたって重点的に整備すべき公園を選び出しています。そしてその中に、｢練馬城址公園｣、つまり｢としまえん｣遊園地一帯を含む公園の整備が盛り込まれたのです。もともとこのエリアは都市計画で公園として位置付けられていましたが、これからの10年に重点的に都が整備する方針が打ち出されたわけです。それが、区や区議会与党の大きな反発を呼びました。どういう点で区が反発したか、区長の答弁を紹介します。
東京都がとしまえん地域を公園として整備する方針に至った経緯については、東日本大震災の発生を受け、首都東京の防災機能の強化を図るため、都市計画決定されていた練馬城址公園の整備に着手することとしたものと認識しております。
一方、これまで区が検討を進めてきた推進構想では、としまえんの一部を区が公園として整備することを中心に据え、ねりま未来プロジェクトのみどり、農、アニメ、人づくり、地域コミュニティ活性化といった各テーマに加えて、スポーツ、文化、観光などの視点も含め、どのような施設整備や事業展開ができるか可能性を探って参りました。具体的には公園整備に際して、練馬区の特徴である緑を生かした計画とすること、都の指定文化財である練馬城址部分について歴史的価値を尊重しながら整備を図ること…アニメについては、ジャパンアニメ発祥の地である練馬区の特性を生かしたアニメ関連施設の整備を検討してきたところであります。さらに、農、人づくり、地域コミュニティ活性化につきましても、それぞれ練馬区の持つ強みを生かした事業展開の方向性を検討してまいりました。加えて、練馬区スポーツ振興計画で掲げている「する・見る・支える」といった多様なスポーツ振興を推進するため、中核となるスポーツ施設を公園内に整備することについても国内外の事例をもとに研究してまいりました。
一方、都では練馬城址公園を総合公園と位置付け、避難場所として確保することとしておりますが、それ以外の具体的な整備内容については明らかにされておりません。これに対して区の推進構想では、としまえんの有する立地特性を生かし、新たな練馬ブランドの発信拠点、にぎわい空間として官民共同による整備を進めることで、地域の活性化を図る視点を持っていることが特徴であると考えております。
私といたしましては、これまでの検討の成果を踏まえ、区の考え方を推進構想としてまとめ、としまえんの持つ歴史的文化的価値も生かした整備が図られる用途に強く働きかけてまいる所存であります。
｢都の整備のあり方によっては、活気や集客機能を維持することが困難になることも予想され、練馬未来プロジェクトの重点事業の一つがとん挫することになりかねない｣「大変に遺憾である」という自民党の質問を受け止めて、区長は｢としまえんをモデル地域とした新たな練馬ブランドの発信拠点、にぎわい空間づくりに向けて官民共同事業として西武グループとともに検討を積み重ねている途上において、構想の前提に大きな変更が生じたことになり、私としてもいささか戸惑いを感じているところであります｣と返しています。区長が都の方針にこうして異を唱えるのは、そうそうあることではありません。
防災対策という視点から公園整備を急ぐ東京都。他方、「にぎわい創出、練馬ブランドの発信｣にこだわる練馬区。西武鉄道などとの｢官民共同｣、アニメやスポーツなども盛り込んだ区立公園としての整備など、区の基本的なコンセプトは、なるほど都の方針とは確かに不協和音を響かせます。
区は、これまで議会にもこの｢としまえん｣を核としたプロジェクトの内容についてはまったく明らかにしてきませんでしたが、都の動きに直面してさすがにこのままではまずいと判断したのでしょう、｢推進構想｣を至急、取りまとめることにしたようです。サッカースタジアムができるとか、いろんな話が聞こえてきていた｢としまえん｣問題は、都が重点整備公園とする方針を明らかにしたことによって、一気に現実の政治舞台に躍り出ることになりました。さて、皆さんはどんな公園を望むでしょう?
それにしても、不思議なことがあります。区議会に「整備方針」の改定案を示したのは8月30日の環境まちづくり委員会でした。それからもう2週間、今日になっても東京都のホームページにはこの改定案が出てきません。なんで? 続きはまた。
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