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「けじめ」忘れた人事② ~なぜ、昇任か!?~

 今回の人事で、文書法務課長と並んで、いやそれ以上に釈然としない人事があります。それは、「技監」人事です。
 先に触れたように、「技監」は、この4月から新設されたポストですが、役職としては「統括部長級」とされています。統括部長というのは、“部長の中の部長”として2007年に練馬区が独自に設置した高級管理職のポストであり、これまでは三つの事業本部の本部長、総務部長、企画部長の5人だけでした。選挙や議会の同意が必要な区長、副区長、教育長に次ぐポストです。そして、4月からこの統括部長に「技監」が加わることになったというわけです。
 統括部長は、給与表上も一段高い位置づけとなります。統括部長職の新設に伴う給与表改定の議案が審議された際、所管の職員課長はこう説明しています。

 特別区人事委員会の基準におきまして、1級職、これは一般職員でございますが、それから8級職、これは部長級の職員でございますが、それにつきましては特別区共通基準といたしました。
 ただし、8級職を超える職務の級につきましては、各区の実情に応じて設置できるとされたところでございます。このため本区におきましては、この新たな級の職を統括部長としたうえで、部を束ね、部長を指揮監督する事業本部長、これをこの職に指定すると。区独自の9級職を設置することといたしました。これに伴いまして、当該9級職の給料表を新設するというものでございます。(2007.6.18企画総務委員会)


 さて、新設された「技監」のポストに着任したのは、現職の都市整備部長です。都市整備部長のまま統括部長に昇格し、「技監」を兼務するということになります。「技監」ポストそのものの意義や必要性についても、先の記事に書いたとおり、私は意見があります。しかし、この「技監」ポストに都市整備部長が兼務で着任することについては、とても納得することができません。その理由は、二つ。一つは、都市整備部長こそ建築基準法違反に関わる問題で最大の責任者の一人だからです。
 「技監」は、外環や大二中の道路問題などの区の重要施策だけでなく、「建築安全確認」の問題、つまり区の建築基準法順守の姿勢が問われている問題でも、「全庁的な統括・調整」を行うとされています。しかし、都市整備部長は、施主サイドでこそありませんが、特定行政庁、つまり建築基準法を守らせる立場にあったものとしてこの問題に大きな責任を負っています。さらには、「仮設」が問題になった光が丘の植物園や駐輪場では、本来、都に提出されるべき許可申請を区で受理し許可してしまったのですが、その所管はほかならぬ都市整備部です。
 当事者としてこれだけ責任を問われるべき立場の者が、なぜ昇任し、区の重要施策の意思決定に大きな権限を持ち、さらには当の建築基準法違反に関連した問題にまで「全庁的な統括・調整」を行えるのでしょうか。
 しかも、現在の都市整備部長は、ずっと都市整備や土木の畑を歩いてきた人です。検査済み証や「仮設」問題と深く関わりのある光が丘地区の開発が進められてきた昭和の終わりから平成の初めにかけては、新進の管理職としてこの開発事業にあたってきました。その後も、長く都市整備部や土木部の最高責任者の一人として腕をふるってきた人です。つまり、たまたま今、当該の部長であるというだけでなく、建築基準法に関するコンプライアンスを確保すべき事務にみずから直接間接に関与してきたのです。
 部長が今、何よりも果たすべき責務は、この間、長くかつ広範に繰り返されてきた建築基準法違反の経過と実態にもっとも通じているであろう当事者の一人として、謙虚かつ誠実に事実を明らかにし、自身の責任の明確化も含め、組織の膿(うみ)を出し切ることです。都市整備部長は、個人としても職務としても、コンプライアンスという区政の根幹について調査を受け、検証され、責任を問われるべき立場にいるのであって、そこのけじめもないままに昇任をしたり、「全庁的な統括調整」という大きな職務権限を手にするなどということがどうして許されるのか、私には理解できません。

 「技監」人事に異議を唱えるもう一つの理由は、都市整備部長の議会答弁です。(続く)

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