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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

図書館指定管理は立ち止まるべき ~本会議・反対討論~

-要旨-
石神井図書館の指定管理としてTRC(株式会社図書館流通センター)を指定する議案に対し、反対討論を行いました。TRCが過大に評価され、何より指定管理を適切に管理する区の体制が欠けているからです。図書館の指定管理を立ち止まるべきです。

練馬区議会の第4回定例会は、13日に閉会となりました。最終日の本会議は、各議案の議決。区長提案の3つの議案について討論・採決となりました。このうち石神井図書館の指定管理者としてTRC(株式会社図書館流通センター)を指定する議案については、私が反対討論に立ちました。以下は討論の全文です。練馬区の図書館事業は、ガタガタになりつつある。強い危機感を感じています。


市民の声ねりまを代表し、議案134号に反対の立場から討論を行います。
この議案は、新たに指定管理に入る石神井図書館の管理者として、TRC=株式会社・図書館流通センターを指定するものです。
私たちが反対する理由は、二つ。TRCの実績、能力が過大に評価されていること。そして、そもそも今の練馬区、とりわけ所管である光が丘図書館に、指定管理者を適切に管理監督する体制が欠けているということです。
TRCを選んだ理由を見れば、区が同社をもろ手を挙げて評価していることがわかります。確かにTRCは、図書館業務にあたる専門的な事業者として、他をしのぐ実績があることは、私も否定しません。しかし一方で、TRCが管理運営に当たる図書館の現場を見れば、課題も少なくないことは明らかです。
たとえば、TRCは石神井図書館のカウンター業務を受託してきましたが、情報公開で確認できた2018年度で言えば、11月には2回も大型絵本の貸し出しミスを犯し、区に謝罪をしています。4月には、防犯カメラの運用において、条例などに抵触する不手際があったことをみずから認め、謝罪をしました。
ところが、これらのことはTRCが区に提出した業務報告書にはまったく反映されていません。大型絵本のミスは、貸し出しルールの基本に関わることであり、しかもそれを短期間のうちに繰り返したとなれば、決して軽微な問題とは言えないはずです。防犯カメラの問題にしても、区は、今はTRCの対応に問題はなかったと強弁していますが、少なくとも当時は条例や規定違反として認識が共有されていました。ところが、それだけ重大な事態にもかかわらず、業務報告書にはまったく出てきません。
なぜでしょうか。業務報告書は、モニタリングの基礎となる資料です。その報告書が現場の実態をきちんと伝えていないとしたら、どうして適正なモニタリングが行われたと言えるでしょうか。

企画提案に対する区の評価も、率直に言って、たいへん表面的です。たとえば、区は「司書等資格取得のための支援制度を整備している点が、評価できる。」としています。本当でしょうか。
TRCが運営する都内のある図書館で働く方から、こんな訴えが届いています。
「司書資格取得のためのサポートはほぼないに等しいです。資格取得には20万円以上かかるのに、取得後に1万円の報奨金があるだけで、講習のために休む2か月は有給休暇を充てるか無給です。」
「司書資格の手当ては時給で30円。司書資格を持っていてもいなくても、担当する業務は同じです。」
区の手放しの評価と、現場から伝わる実態と、このあまりのギャップを私たちはどう考えればよいのでしょうか。このほかにも、現場ではサービス残業が多い、契約社員に対する差別的な取り扱いを何とかしてほしいといった声も寄せられています。TRCに対する練馬区の評価は、大切な区の図書館をゆだねる団体を選定するにふさわしい根拠と検証を欠いています。
先の決算特別委員会で、私は、防犯カメラの取り扱いに関するTRCの対応に関連して質疑を行いました。その中で、光が丘図書館長は、実際には存在していた日報の記載を「ない」と言い張るという失態を犯しましたが、これもまた、館長がいかに現場を把握していないか、図書館の現場に対する区の管理・監督がいかに行き届いていないかを象徴的に明るみに出すものでした。
この問題では、館長は今、部下に責任を押し付けるかの言い訳を口にしていますが、管理職にふさわしい対応とは言えません。たとえ故意でなかったとしても、日報の中身すら確認できなかった、そして結果として事実に反する答弁をして議会をあざむいた館長の責任は重大です。しかるに、いまだに館長も、その上司も、私に対する一言の謝罪もなく、議会に対する発言訂正の申し出すらありません。この場を借りて強く抗議するものです。

光が丘図書館の事務管理能力、とりわけ指定管理者等に対する指導監督能力が、厳しく問われています。この状況でさらに指定管理を広げることは、きわめて危ういと言わざるを得ません。いったん立ち止まり、図書館事業の現状を深く、真摯に検証することを強く求めて、討論とします。

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