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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

ダイオキシンに汚れた雨水(続)

 9月10日の記事の続編です。

 清掃工場から、環境基準の7倍近いダイオキシンに汚れた雨水が公共下水道に排出されていたという事実は、さらに大きな疑問を呼びます。それは、清掃工場における雨水管理は本当に法の求めにかなったものであったのかということです。
 水質汚濁防止法という法律があります。工場排水や生活排水を管理することによって、河川や地下水などの公共水域の水質を保全することを目的とした法律です。この法律で、汚水または廃液を排出する施設は「特定施設」として指定され、さまざまな規制を受けます。たとえば

第5条  工場又は事業場から公共用水域に水を排出する者は、特定施設を設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、次の事項を都道府県知事に届け出なければならない。
(①~⑤ 略)
⑥汚水等の処理の方法
⑦排出水の汚染状態及び量(指定地域内の工場又は事業場に係る場合にあつては、排水系統別の汚染状態及び量を含む。)
⑧その他環境省令で定める事項※
  ※施行規則で「排出水に係る用水及び排水の系統」と定められている
第12条  排出水を排出する者は、その汚染状態が当該特定事業場の排水口において排水基準に適合しない排出水を排出してはならない。
第14条  排出水を排出し、又は特定地下浸透水を浸透させる者は、環境省令で定めるところにより、当該排出水又は特定地下浸透水の汚染状態を測定し、その結果を記録しておかなければならない。

 この排出水には、当該の特定施設敷地に降った雨水も含まれる、というのが環境省の見解です。そして、清掃工場(廃棄物焼却施設)は、ここに言う「特定施設」に指定されています。
 では、練馬清掃工場、あるいはその管理者である23区清掃一部事務組合は、こうした法の定めを遵守していたと言えるのでしょうか。たとえば、14条にある測定、記録の義務。一組は、昨年度に測定したものの、この間、恒常的・規則的な測定はしていませんでした。ちなみに、水質汚濁防止法の規定とリンクする形で、ダイオキシン類対策特別措置法には、こんな条文もあります。

第28条  大気基準適用施設又は水質基準適用事業場の設置者は、毎年一回以上で政令で定める回数、政令で定めるところにより、大気基準適用施設にあっては当該大気基準適用施設から排出される排出ガス、水質基準適用事業場にあっては当該水質基準適用事業場から排出される排出水につき、そのダイオキシン類による汚染の状況について測定を行わなければならない。

 たとえば、横浜市はまさにこの条文を根拠に、毎年、汚水系だけでなく雨水系の排出水についてもダイオキシン濃度調査をやり、公表しています。

横浜市ごみ焼却施設のダイオキシン調査結果

 一組と横浜市と、どちらが法にのっとっているのか。法だけでなく、周辺住民への説明責任や安全確保義務にかなった対応をしているのか。私には、明らかなように思われます。(この項、さらに続く)

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