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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

ダイオキシンに汚れた雨水(続々)

 9月10日と17日の記事の続きです。

 雨水中から環境基準を大きく上回るダイオキシンが検出されたという今回の事態は、清掃工場が通常のダイオキシン対策や排水対策では想定されていない形で水質汚濁の原因となっている可能性があることを明るみに出すものでもありました。そこで改めて問われるのが、環境アセスメントです。
 問題の練馬清掃工場は、今、建て替えにむけて環境アセスメントの作業が最終段階に入っています。このアセスメントの中で、実は練馬区長が「水質汚濁」を調査項目に入れるよう正式に求めた経過がありました。08年4月に出された「環境影響評価調査計画書に対する区長意見」の中に、こんな記載があります。

「水質汚濁、水循環を工事施工中からの環境影響評価項目としたうえで、地下水質の観測井を本清掃工場敷地北東側に設置し、測定されたい。」

 もちろん、区長は、まさか雨水がダイオキシンに汚染されているなどとは思っていませんから、現在の環境影響については一組の見解を尊重し、工事期間中と稼働後について「水質汚濁」の調査を求めているにとどまります。しかし、水質保全への責任感と水質汚濁に対する不安はしっかりと伝わってきます。ところが、一組は、区長自らが求めた水質汚濁に関する調査を拒否していたのです。いわく

「工事の施行中において、排水及び雨水に起因する地下水汚染は起こらない」
「(新工場稼働後は)汚水処理設備及び灰処理設備ともに閉鎖処理系統のため、排水、主灰及び飛灰に起因する地下水汚染は起こらない」
(環境影響評価書案)

 百歩譲って、この見解の通り地下水汚染がないとしても、区長の要望にこたえて水質汚濁を調査項目として入れ、区民の安心を得るために万全を期すくらい当然の対応だと思うのですが、しかし、実は「地下水汚染は起こらない」という一組のこの自信がその前提から崩れたのが、今回の事態なのです。何しろ、今の清掃工場だって「閉鎖処理系統」、今の工場だって「排水及び雨水に起因する汚染は起こらない(起こっていない)」というのが一組の説明だったからです。
 環境アセスメントとその前提となる現況の環境課影響調査の信頼性が、大きく揺らいでいます。

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