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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

“500床病院”は事実上、白紙に ~「5病院構想」の行方(その2)~

 志村区長が「5病院構想」を打ち出してから2年、構想は大きく揺らぎ、修正が重ねられてきました。どれほど変わってしまったか。まずは“500床病院”です。区の公式の行政計画の中で、この構想がどう取り扱われてきたかを時系列で追ってみると、こうなります。

練馬区長期計画・前期実施計画(2010-2012)
●2014年度目標 新病院の建設工事着手 (500床程度確保)
●’10調査・検討 ’11用地選定 ’12基本設計
同・後期実施計画(2012-2014)
●2014年度目標 新病院の用地選定 (500床程度)
●’12調査・検討 ’13調査・検討 ’14用地選定
地域医療計画素案
●2017年度 関係機関協議 2022年度 建設工事着手(事業者)
「新病院の具体的な規模・機能については、…将来策定予定の基本構想※において、関係者と協議をしながら明らかにしていきます」
※現在の基本構想の目標年次は「概ね(平成)30年代の初頭」

 区長が「5病院構想」を打ち出した時期に取りまとめられた長期計画の前期実施計画では、長期計画の最終年度である’14年度は「工事着手」となっていました。それが、後期実施計画では「用地選定」にまで後退、さらに先日公表された地域医療計画(素案)では、工事着手は2022年度にまで先送りです。2022年度というのは、現在の区の基本構想がカバーする範囲のさらに先です。ですから、わざわざ「新病院の具体的な規模・機能」は次の基本構想に委ねることになるのですが、しかし、これは事実上、区の行政計画の体系から“500床病院”は消えたということです。「具体的な規模・機能」すら固められないとしたら、それはもう政策の体をなさないのは自明です。

 「救急医療や高度医療を行える500床規模の病院」と言えば、順天堂練馬や当時の日大光が丘をさらにグレードアップした病院ということになります。多額の財政支出を不可避とするこうした大規模病院が練馬の地域医療の中で、あるいはまた区政の中でどれほど必要で優先順位が高いものであるか。その検証は「地域医療計画」を待つという、ある意味で逆立ちした区の進め方には当初から強い異論があり、地域の医療関係者の評判もきわめて冷ややかなものでした。さらに言えば、練馬区も含めた二次医療圏で見れば不足病床がほとんどない、あるいは病床過剰という状況の中で、既存病院の増床も含め1,000床に近づく規模で新たに病院を整備することは、そもそもきわめて現実味の薄い話でもあったのです。
 結局、今、この“500床病院”構想は事実上、白紙に戻されようとしています。この結論自体は、避けがたいものです。しかし、ではこの2年間はいったい何だったのでしょう。区長は2年前、何を根拠に、また何を意図して「5病院構想」を打ち出したのか? この構想は区長の言葉、2011年の選挙の際にもたびたび語られた“公約”です。こうした言葉には、普通は責任というものが伴うはずですが…。        (続く)

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