200床以上の規模を有する病院を練馬区内に5つ確保する――この「5病院構想」を志村区長が最初に打ち出したのは、2010年、区議会第4回定例会での所信表明でした。あらためてその時の発言を拾っておきます。
しかし、区内医療環境の現状は、地域医療の中核となる一般病床を200床以上持つ病院が、70万人の人口に対し3病院だけであり、また、回復期リハビリテーションの施設基準を満たす病院は1つもなく、療養病床数も十分ではありません。
こうした中で、区民の皆様が安心して医療が受けられるようにするために、将来を見通した医療環境を構築していく必要があります。
そのために私は、200床以上の規模の病院を今後2か所増やして5病院とし、急性期医療に加え、回復期や療養型の病床も充実し、バランスのとれた医療環境を整えてまいりたいと考えております。
その5病院のうち、まず順天堂練馬病院につきましては、病床稼働率や外来患者の受け入れが限界にきていることから、病院を拡充し、救急医療や周産期医療などを充実してまいります。
次に、日大練馬光が丘病院につきましては、光が丘地区の著しい高齢化の進行を踏まえ、救急医療等に加え、回復期リハビリの機能をあわせ持つ医療施設への転換を図ることが必要であると考えております。
更に、練馬総合病院につきましては、区の東部地域において、救急医療や産科医療など、公的な役割を担う中核病院として、引き続き位置づけてまいります。
新たに2か所整備する新病院につきましては、区西部地域を中心に整備し、その1つは救急医療や高度医療を行える500床規模の病院を、もう1つは一般救急、回復リハビリ、療養型を兼ね備えた役割を担う病院を整備してまいりたいと考えております。現在、民有地および東京都の用地を含め、具体的な検討を進めているところであります。
また、200床未満の民間病院につきましては、救急医療、周産期医療、小児医療など地域医療の重要な役割を担っており、区民にとって必要な医療を確保し、充実する観点から、病院経営が継続できるよう、来年度に向け、具体的な支援の検討を行ってまいります。
順天堂練馬、日大光が丘、練馬総合に加えて、あらたに2つ、200床を超える規模の大きな病院を整備する。1つは「救急医療や高度医療を行える500床規模の病院」、もう1つは「一般救急、回復リハビリ、療養型を兼ね備えた役割を担う病院」。この2つをいずれも「区西部地域」に整備する。これが、5病院構想の骨格です。
この構想は、すでに最終段階に来ていた日大撤退の話もまったく伏せたまま打ち出されたという点でなんとも無責任なものだったと言わざるを得ないのですが、ともかくこの構想はその後の医療施策や地域医療計画をめぐる議論の核心となっていきます。
あれから丸2年が過ぎました。地域医療計画をめぐる関係者の議論も、はげしい紆余曲折のうえ「素案」を取りまとめるところまで来ました。さて、5病院構想はどうなったのでしょうか? (続く)
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