Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

230号線沿道の「地区計画」

 補助230号線という道路があります。光が丘まで整備が済んでおり、そこからさらに西へ、高松、土支田、大泉町から大泉学園町へと抜ける計画の道路です。片側1車線の交互通行で幅員は18m、「大江戸線延伸の導入空間」という位置づけがされているという点で特別な意味合いを持った道路なのですが、この道路の沿道地区のまちづくりの方針をまとめた地区計画の素案が、先日の交通対策等特別委員会で報告されました。
 なぜ道路が地下鉄の「導入空間」になるのか、道路の整備でなぜ「地区計画」を作るのか、これ自体とても興味深いテーマなのですが、それはさておき、地区計画の素案です。地区計画は大泉町2丁目、3丁目、大泉学園町の3つに分かれ、エリア内にはそれぞれ1,000、1,500、2,100世帯、あわせて約4,600世帯が住んでいます。総面積83.2haという、とても広範囲の計画です。地区計画のなかでは、地区内の公共施設(道路、公園など)のほか、建築物の高さ、壁面の位置、事業用途などを規制・誘導するための独自の基準が定められます。
 問題は、この地区計画が、道路沿道の用途地域の変更と一体になっていることです。230号線沿道は、両側30m、つまり道路幅員を含めると幅72mにわたって、「第1種住居地域」に用途地域が変更されます。「高度利用を図る」ため、というのが区の説明です。今は、「第1種住居専用地域」です。この用途地域変更とあわせて、建ぺい率や容積率、建築物の用途などが大きく緩和されてしまいます。そこで、地区計画で一定の規制を入れようということなのです。
 もともとこの3つの地区は、多くが風致地区の指定を受けており、さらには第1種住居専用地域ですから、そのままであれば特段の規制は不要であったとさえ言えます。道路を引くから、道路を造るから、そして道路とセットで規制緩和を進めるから、その条件として地区計画が必要になったということなのです。道路整備に伴う開発を前提とし、開発を誘導するためのものとして、地区計画は使われようとしています。
 地下鉄の延伸はこの地域の強い願いです。しかし、地下鉄延伸のためにも道路整備が必要であるとしても、なぜ道路沿道の用途地域を変え、規制を大幅に緩和しなければならないのでしょう?
 230号線沿道では、用途地域の変更によって、建ぺい率は現在の50%が60%に引き上げられます。容積率にいたっては、100%が300%に大幅に緩和されてしまいます。高さは、現在は10mまでしか建てられませんが、17m(5階)まで認められることになります。
 風致地区がかかっているところはそちらの規制が優先されますから、用途地域が変わっても直ちにこれだけの規制緩和が行われるわけではありません。しかし、地区計画は、区のまちづくりの考え方を示すものです。風致地区の見直しが議論されている中で、今回の地区計画素案は、事実上、風致地区見直しを先取りするものとなりかねません。このままでは、道路沿道の規制緩和は間違いなく進んでいくでしょう。
 地区計画はまだ「素案」です。これから住民説明会があり、都市計画審議会や議会の手続きも必要です。しっかりと議論したいものです。

コメント