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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「新型コロナ」、どうする?  ~一般質問から~

8日、一般質問に立ちました。本会議で年1回、認められている質問の機会です。そのやり取りを、いくつかに分けてご報告したいと思います。練馬区議会の一般質問はすべての質問をまとめて読み上げ、答弁もまとめて行うというやり方です。“一問一答”方式と違って、なかなかやり取りが深まらないのですが、それでも、大切な、あるいは特徴的な答弁を聞くこともあります。
まずは「新型コロナ」対策について。それぞれの質問部分に該当する答弁を並べてあります。大切な部分については、あらためてコメントします。
 ※原稿、録音をもとに文字化したものですが、正式な議事録ではありません。

再度の緊急事態宣言と、政治の責任

■池尻■
緊急事態宣言がさらに1か月、延長されました。まず、「新型コロナ」対策について伺います。
ウィルスの動態や感染リスクのありよう、重症化のメカニズムや治療方法についての知見、経験も積み重なり、新型コロナは、いまや得体の知れない、管理不能な感染症ではありません。
マスクの着用や「三密」の回避など、状況に応じて具体的で実践的な感染予防対策を講じることで、市民生活との折り合いをつけながら、感染を一定水準以下に抑えていく。この間、こうしたいわば“下から”のアプローチに沿って、様々な努力が積み重ねられてきました。
それにもかかわらず、政府は二度目の緊急事態宣言を出しました。追い込まれたと言ってもよいでしょう。ふたたび「Stay Home」「人流抑制」。一律・機械的な、あるいは強制的なアプローチに戻らざるを得なくなりました。市民生活へのダメージは、精神的にも経済的にも、とても重い。目先の利益にとらわれ、感染状況への慎重な目配りをおろそかにし、必要な対策とメッセージが後手に回り続けた政治の責任を痛感します。
再度の緊急事態宣言を出さざるを得なくなったことについて、区長はどうお考えでしょうか。まず、お聞きします。

■危機管理室長■
私から、国の緊急事態宣言についてお答えいたします。
昨年12月、首都圏を中心に新規陽性者数は過去最多となる状況が継続し、都内では同月31日初めて1,000人を超える1,337人が報告され、急速な感染拡大となりました。
年が明け、緊急事態宣言に関する、国の分科会の提言や1都3県の知事からの要請もあり、国は1月7日、二度目となる、特措法に基づく緊急事態宣言を発出したと認識しています。
2月に入っても、新規陽性者数は、1月のピーク時に比べ減少傾向となったものの、なお高い値を示しています。また、人口当たりの療養者数や、確保病床数に占める占有率も高い水準にあり、医療提供体制の危機的状況が続いています。これらの状況を鑑みて、宣言の期間が延長されたものと考えます。

感染リスクの評価について

■池尻■
そもそも、「新型コロナ」のリスクをどう受け止めるべきか。区民の間でも、混乱と迷い、共通認識の不足が顕著にあり、かつ解消されることなく続いています。改めて、感染リスクの考え方について何点かお聞きします。
新型コロナは、発症の2日ほど前から発症後10日程度までの期間、ウィルスを排出すると言われています。他方、陽性と確認された人のうち、さらに他の人に感染させるのは2割にとどまるとされます。また、行政検査の範囲が拡大される中、症状がないにもかかわらず、PCR検査陽性となる人も増えています。検査が陽性であることと、その人が第三者に感染させるリスクとは、必ずしも同じではありません。
陽性者のうち、無症状のままで終わる人はどのくらいいるのか。また、いわゆる無症状病原体保有者の感染リスクについての知見をお聞かせください。

感染対策上、「三密」を避けるべきことが繰り返し強調されてきました。しかし、何をもって「三密」とみなすのか。たとえば、肩肘接するくらいの人が乗り合わせる通勤電車、定員通りに利用される区立施設、昼どきの区役所地下食堂…人々がマスクを着用し換気を心掛けているとして、これらの空間の感染リスクをどう考えるべきか。ご教示ください。

■保健所長■
私から新型コロナウイルス感染症対策についてお答えします。
新型コロナウイルス感染者のうち、無症状のまま経過する方は、練馬区内では一割程度となっています。無症状病原体保有者についても感染リスクがあるといわれていますが、発症日が明らかでないため、国の基準に基づき検査日より2日前から感染性があるものとみなして対応しています。
これまでに国内で感染が確認された方々の疫学調査等を通じて、感染リスクの高まる場面が明らかになってきました。国は、新型コロナウイルス感染症対策分科会からの提言に基づき、「飲酒を伴う懇親会」「大人数や長時間におよぶ飲食」「マスクなしの会話」「狭い空間での共同生活」「居場所の切り替わり」を注意すべき5つの場面として発信しています。場所よりもどのような行動を取ったかが感染リスクに影響を及ぼすものと考えられます。このような知見から、電車等多くの方が近距離で居合わせる場所においても確実にマスクを着用するなど適切な予防策を講じていれば、感染のリスクは大幅に低減されるものと認識しています。

区長のメッセージが、極めて少ない

■池尻■
自覚症状のある時は、外出を避けること。人と接する屋内などでは、マスクをすること。これだけでも、日常の市民生活での感染リスクは大きく低減できるはずです。機械的で一律な対応ではなく、場面場面でのリスクを冷静に見極めることで、過度の自粛、不要な制限、根拠のない不安や恐れを解きほぐしていくことは感染対策の大切な課題の一つであり、それだけでも市民生活の閉そく感は緩和されるでしょう。
リスクを科学的客観的に評価すること、感染対策の効果とその社会的な負荷を考慮し、都度都度で合理的で最善の判断をしていくこと。その大前提としての、情報の徹底した公開と根拠に基づく説明と納得。それはリスク・コミュニケーションの基本でもありますが、そのためには基礎自治体、とりわけリーダーのメッセージの力が極めて重要です。なぜなら地域の実情に最も通じており、地域の住民と身近に対話を重ねているのは、ほかならぬ自治体とそのリーダーだからです。

しかし、この間、新型コロナに迷い悩む区民の思いに寄り添おうとする前川区長の発信は、極めて少ない。残念です。もっと積極的に、そして何より対話の姿勢で、区民と向き合うべきではないか。お答えください。

■区長■
お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症対策のメッセージについてです。
ご質問を聞いていて、耳を疑いました。いったい何をおっしゃりたいのでしょうか。お話が全く理解出来ません。
昨年7月から、全国自治体に先駆けて開始した診療所でのPCR検査や、この度公表したワクチン接種「練馬区モデル」をはじめ、様々な区独白の施策に取り組んできました。
私は、現場の実態に即した優れた政策を立案し、実行することこそが、最大のメッセージだと確信しています。
しかも、これらの取組みは、多様なメディアで取り上げられてきました。私は、個人的な売名行為は嫌いですが、面映ゆい事ながら、私自身のインタビューも新聞やテレビで大きく報道されています。「練馬区モデル」が、現在、繰り返し全国的に報道されているのは御案内のとおりです。加えて、「未来を語る会」を開催出来ないなか、区報、ホームページ等を通じて、区民の皆さん、エッセンシヤルワー・カー、事業者の皆さんに、繰り返しメッセージを発信しています。私は、これこそが民主主義の基盤であると確信しています。こうしたメッセージは、「練馬区モデル」をはじめ、多数の皆さんから積極的な支持を頂いています。
これらの多岐にわたる私のメッセージが、池尻議員にだけはなぜか届いていないようなのです。どうしてなのでしょうか、不思議としか言いようがありません。率直に申し上げれば、何周遅れかの左翼の方かなと私は考えております。

検査、そして自宅療養者への医療について

■池尻■
年末からの爆発的な感染拡大、そして医療のひっ迫状況は、この間のコロナ対策の枠組みに深刻な困難をもたらしています。
濃厚接触者や有症状者を中心とした行政検査を進めることで、クラスターの発生・拡大を封じ込めることが、これまでの感染対策の戦略的な方針でした。しかし、事実上の市中まん延期に入る中で、この戦略自体の転換が迫られています。象徴的なのが、積極的疫学調査の対象範囲の見直しです。濃厚接触者の追跡調査をハイリスクの集団などに絞るのは、感染状況からすればやむをえないことと思いますが、もしそうであれば、行政検査とは別に、広く検査を受けられる体制に移ることが必要不可欠です。
第一は、症状がなくても、例えば職場内に感染者が出た、近くに濃厚接触に当たる人がいるなど気がかりな事情がある場合に、任意に検査を受けやすくする体制を整備することです。
第二に、感染リスクの高い集団に属する人たちへの、定期的な一斉検査の実施です。有疾患の高齢者等、重症化リスクの高い人が集中する医療機関や介護施設等では、職員や利用者の定期的な検査をぜひ行いたい。学校の教員や保育所の保育士などにもぜひ検査を。こうした予防的積極的な検査をできる限り頻繁に重ねることで、感染者の早期の拾い出しが可能となり、全体としての感染リスクが抑制され、社会生活の負荷も軽減されることは、先日、コーネル大学の実験として報道もされていたところです。
以上、検査に関わる2つの提案について、区の考えをお聞かせください。

医療もまた、検証と転換が求められています。
新型コロナ感染症は、厳密な感染対策を講じた専用の病床での入院隔離が原則とされてきました。しかし、軽症や無症状など、本人の症状だけからすれば、必ずしも入院を必要としないケースが多数出る一方で、病床がひっ迫する中、重症とみなされても入院できないケースが相次ぐ深刻な事態が広がっています。
区内の感染者は、院内・施設内感染者も含め、必要な入院先を確保できているのか。区内でコロナ専用の病床はどのくらいあり、どの程度機能しているのか。そこからの転院先確保の取り組みはどうなっているか。墨田、板橋、杉並など、転院支援に踏み出した他区の取り組みをどう評価するか。以上、お答えください。

感染者の急増で入院隔離の原則がなし崩しになる中で、今や感染者の最大多数は自宅にいます。自宅療養者が、適切な感染拡大防止対策をとることができているか。そして、必要な医学的な管理や療養の支援がなされているか。危惧される状況です。
施設もしくは自宅療養か、入院かを判別するのはだれの責任なのか。法令上、制度上、入院しない人への医療は、だれが、何にもとづいて提供するのか。お答えください。

保健所は、検査や感染者の入院隔離を図る機関ではあっても、本来、医療の適否・要否を判断したり、医療そのものを提供する役割は負っていません。しかも、新規感染への対応に追われ、国が求める定期的な安否確認もままならないといいます。自宅で療養する感染者は、実は医療と感染隔離の谷間に置かれているのが実情です。地域の診療所や訪問看護事業所などの支援を仰ぎながら、自宅療養者に対する医学的管理と療養支援の取り組みを早急に始めるべきです。所見をお聞かせください。

■保健所長■
保健所は、感染症法に基づき、感染者が発見された場合には、発生状況や接触状況等を総合的に勘案して、広く検査を実施するなど、無症状者を含めた感染者の発見に努めています。また、多くの民間検査機関やクリニックでPCR検査等を実施しており、自主的に検査を希望する方のアクセスは向上していると考えます。
社会福祉施設等での定期検査については、東京都は、10月から感染者が発生した場合に影響が大きい特別養護老人ホームや障害者施設等の利用者、職員を対象としてスクリーニング検査経費の支援を開始しました。
更には、国の「新型コロナウイルス感染症の基本的対処方針」の改定により、高齢者施設の従事者等のPCR検査の集中実施計画を策定し、施設における検査を徹底するとしています。区は、国や東京都と連携し、高齢者、障害者施設でのPCR検査について必要な対応を行ってまいります。
コロナ対応病床は、東京都が感染状況に応じて都内全域で確保しています。区内にも複数の病院に確保されており、現在は、ほぼ満床の状鸚です。感染者の入院・調整も都が広域的に行っており、区民が感染し入院する際にも都内全域の病院の中から入院先が決定されます。病床がひっ迫している現状において回復患者の転院調整は必要なことと認識しています。その調整および支援についても既に東京都が都内全域で実施していることから、区で行う予定はありません。
新型コロナウイルス感染症は、現在、感染症法に基づく指定感染症に位置付けられており、法令上は、陽性と診断された方は全て入院することになっています。しかし現状では、全ての方を入院させることができないことから、軽症者等については宿泊施設での療養または自宅療養という対応がとられています。医療の必要性の判断は診断した医師が行うものであり、入院しない方の解熱剤の処方等についても、基本的には診断医が行うものと考えています。
本来、症状のある方については、入院または宿泊療養をしていただくことが望ましいと考えています。様々な事情でやむなく自宅療養となる方に対しては、食料品等の配送により療養の支援を行っています。必要に応じてパルスオキシメーターの貸与を行い、万が一悪化の兆しがみられるような場合には、速やかに入院していただく対策を取っています。

■池尻■
今、行政の姿勢も社会の関心も、ワクチン接種に大きく傾斜しつつあります。しかし、ワクチンは効果的な感染対策の一つとなる可能性はありますが、課題もなお、少なくありません。効果がどの程度持続するのか、また、重症化を防ぐだけでなく、そもそも感染しない、させない効果がどのくらい持つのか。いずれもまだ、不確実です。この間の感染対策をしっかりと検証し、まずは多面的で地に足の着いた感染対策を再構築していくことを求めて、この項を終わります。

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