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中村哲医師講演会に、1400人

10日の中村哲医師講演会、1400人の参加で盛況のうちに終えることができました。ご来場くださった皆さん、そして何よりスタッフとして支えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

アフガンでの活動を始めて30余年、念願であったマルワリード用水路が完成し、ガンベリ砂漠には緑が広がり、稲が、サトウキビが、オレンジが、小麦が…たわわな実りをつける。スクリーンに映し出される最近の現地の姿は、驚異であり、偉大であるとさえ感じます。先生が用水路建設をはじめとした「みどりの大地計画」に取り組んだこの同じ時期、米国などがアフガンのために何ができたか、何を残せたかを考えれば、その思いはひとしおです。
しかし、中村哲は、中村哲。とつとつと、声を張り上げるでもなく、成果を誇示するでもなく、聴衆に語り掛ける小柄な体は、「言葉」の持つ本当の力が何から生まれるものか、深く考えさせられます。
開会前、楽屋での会話の中で、先生が強く語ったのは、「アフガンでは飢饉は終わっていない、いや、かつてなくひどくなっている!」ということでした。そして、すでに60万を超す人々の食料と生業といのちの基盤を再生させてきたその人は、今や700万を超すという飢餓線上の人々を視野に、事業の「全国展開」の方針を打ち出しました。終わりの見えないたたかいに――銃と爆弾ではなく、つるはしと重機を使ったたたかいに、またこれから挑もうしているのだと、横にいる私も身の引き締まる思いがしました。
そんな実感を、参加者の多くが共有してくださったのだと思います。驚くほどのカンパと熱いメッセージをお預かりしました。責任をもって先生とペシャワール会にお届けします。ありがとうございました。
最後に、先生の最近の言葉から。覚悟を知ります。

巷ではテロや空爆、難民の噂が絶えませんが、私たちは「対テロ戦争」などという、おぞましい戦列には加わりません。それこそが果てしない暴力の応酬を生み出してきたからです。
水が善人・悪人を区別しないように、誰とでも協力し、世界がどうなろうと、他所に逃れようのない人々が人間らしく生きられるよう、ここで力を尽くします。内外で暗い争いが頻発する今こそ、この灯りを絶やしてはならなぬと思います。
          ペシャワール会報126号(2015.12)より

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