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「選挙には出したくなかった」 ~志村区長の記者会見(続)~

 区長はまた、記者会見でこんなことまで言っています。

 昨年4月の区長選挙では、区内の医療を充実させる5大病院構想を掲げて当選しながら、中核である日大の撤退を区民に公表したのは3カ月後だった。志村区長は「選挙には出したくない中身。日大だけが頼りだと信じ切っている患者さんの心を裏切ることはできない。同時に、区が日大に慰留を交渉中で、宣言できないのは当然の理だ」と弁解した。(東京新聞)

 「5大病院構想」を掲げて選挙に出たが、なぜ日大撤退のことを語らなかったのかと問われて「選挙には出したくない中身」だったから、という答えです。これもまた、驚くべき発言です。一方で日大光が丘も含む5つの病院を整備すると大々的にキャンペーンを張りながら、その陰では日大撤退の話が大詰めを迎えていた。この深刻な矛盾を「選挙に出したくない」からと隠し続けたとすれば、それはもう区民を欺く行為と言わなければなりません。
 この記事によれば、区長は「患者さんの心を裏切ることはできない」と言っています。噴飯ものの弁解です。患者さんの心を裏切らないようにする唯一の道は、日大存続のために区、区議会、区民を挙げて奮闘することであり、その決意と覚悟を区長みずから区民の前で語ることでした。日大撤退の背景と問題点を解明し、存続のための道を探ることは選挙の最大の争点となったはずであり、また争点とすることによってこそ、事態打開の道も力も生まれたはずです。ところが区長は、区民の前では聞こえのよい「五大病院」のことは口にしても、光が丘病院の深刻な事態には見ぬふり知らぬふりを通し、一言も語らなかったのです。いやいや、それどころではありません。選挙を控えた2010年12月には、区は日大とこんな確認書まで交わしているのです。

 付属病院の運営期間に関しでは区と大学との見解が異なるが、大学が付属病院を廃止する意向を変えない以上、平成24年3月の廃上に伴って生じる地域医療の混乱を防ぐためには、遅滞なく新たに主体となる医療機関へ引ぐことが望ましく、区と大学の双方で引継ぎのための協議を行い、引継きに伴う各事項については平成24年3月末日までに解決するものとする。
(2010.12.1「日本大学医学部付属練馬光が丘病院に関する打合せについての確認事項」)

 選挙を目前に控えて、何のことはない、区は日大と「平成24年3月の廃止」を前提にした確認書を交わしていたのです。この確認書に区側で公印を付いたのは、健康福祉事業本部長です。まさか区長は、勝手に本部長がこの確認書を交わしたとは言わないでしょう。こうした確認書を交わしておいて、何が「慰留交渉中」でしょうか?
 「選挙に出したくない」こそ、区長の”本音”であったに違いない。この新聞記事が虚報、誤報でない限り、私はそう言わざるを得ません。

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