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「道路大会」、やめませんか?

 10月31日、「東京都道路整備事業推進大会」(道路大会)が日比谷公会堂で開催されました。都内の全市区町村が主催するというこの大会、1990年に第1回が開催されています。当初から議会としても参加するということになっていたようで、今も議会運営委員会で会派割り当てを確認、さらに道路事業に関係する環境まちづくり委員会では委員会全員が参加するということを毎回、続けてきています。
 私も、何度もこの道路大会、参加することになりました。そして、参加するたびに強い違和感を感じてきました。異論の多い、あるいは区民の批判も強い道路事業まで含めて「推進!」、「促進!」、「財源!!」と叫ぶことへの違和感、反発もあります。しかし、さらに基本に立ち返れば、何で道路事業だけこのような“陳情大会”をやるんだろうという疑問が消えません。
 必要な道路事業もある。そのための財源も必要。でも、同じように必要な教育や福祉などの事業もあり、そして同じように財源が求められています。ところが、「道路大会」はあっても「福祉大会」とか「教育大会」とか「子育て大会」などは聞いたことがありません。ここには、道路の特別扱いがあります。そしてそれは、道路だけ特別に財源を別枠で確保してきた国の財政システム(道路特定財源制度)と不可分です。
 しかし、道路特定財源制度は廃止されました。厳しい財政事情の中で「道路だけ」などということはあり得ません。他方で、道路も含め、地方自治体の判断と裁量の中で進める仕組みがどんどん広がっています。様々な事業や課題の中で、何をどう優先し、そのための財源をどうやって確保するか。道路に限らず、総合的に、バランスと優先順位を適切に判断しながら対応していくべき時代です。
 国会議員や都議会議員を延々と紹介し、「万歳!」で締めくくられるこの道路大会、本当に古臭い政治スタイル、陳情政治をそのまま引きずっています。もう時代遅れです。そろそろやめませんか?

 第3回定例会の一般質問で、道路大会の見直しを求めて質疑しました。区の答弁は、質問の根幹には答えず、道路は必要→財源が必要→大会が必要という陳腐極まりないものでしたが、少なくとも議会の関与についてはしっかり見直しを求めていこうと思います。質疑の記録を再録しますので、ご覧下さい。(事務局作成の未定稿です)

池尻成二 今年もまた、10月31日に道路整備事業推進大会が開催されます。道路事業に特化した大々的な陳情キャンペーンとも言うべきこの大会は、道路特定財源の存在と不可分なものとして続けられてきました。


 道路特定財源の歴史は、1950年代にさかのぼります。それは集中的優先的に道路に税金を投入する仕組みとして、自動車交通の社会基盤が大きく立ち遅れていた時代、道路整備が生産力の増強や技術革新のテコとなり、経済成長に伴って税収もまた、右肩上がりで増えていった時代を支えました。
しかし、今はもう、違います。巨額の公共投資は財政規律を破壊し、道路はしばしば「無駄な公共事業」のシンボルともなりました。長く道路事業を聖域化してきた特定財源制度も2009年に廃止、一般財源化されました。今や道路は社会資本整備の一つの枝でしかなく、この社会資本整備自体が国や自治体が直面する様々な政策課題のひとつであり、そしてすべてが厳しい国家財政の中でその優先順位や意義が検証されなければならない時代がやってきています。
 まず、道路大会の今後の在り方について、区の認識を伺います。
土木部長 私からは、束京都道路整備事業推進大会についてお答えします。
 この大会は、東京の広域化する交通混雑の緩和や、安全で快適なまちづくりに資するため、道路などの整備の推進を図ることを目的として開催され、大会終了後、政府や国会など関係機関への要請活動を行っております。
 そもそも都市における道路はネットワークとして整備構成されることで、単に交通機能を受け持つだけではなく、上下水道やガスなどのライフラインや、地下鉄・モノレールなどの公共交通機関を収容する空間として、また、災害時には緊急避難路、火災遮断空間となるなど、さまざまな役割を担うものであります。
 しかし、東京では、この機能を発揮する道路網が確立できていないのが現状であります。
 そして、東京を、国際、競争に勝ち抜けるような円滑な物流を実現できる都市としていくためにも、道路の整備、とりわけ道路網の骨格となる、都市計画道路の整備は急務であります。
 このような首都の道路整備の必要性に対し、国などから適切な評価を得て、真に必要な事業への 財源を安定的・継続的に確保するため、都内全ての区市町村の長と議会が一体となり、道路大会を開催することは、意義あるものであり、今後もこれまで同様に必要であると考えております。

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