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池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「虐待対応は適切だった」 ~光が丘の介護事件で議会報告~

 光が丘で起きた認知症高齢者に対する家族の虐待事件について、29日の医療高齢者等特別委員会で、はじめて理事者(区の担当責任者)から説明がありました。ただし、口頭で。以下は、「高齢者虐待に関する高齢者相談センターの対応について」という報告の全部を録音から起したものです。報告者は、光が丘総合福祉事務所長。なにせペーパーがないので、句読点や改行等は私(池尻)の判断です。
 それにしてもこんなに長い報告、たっぷり丸5分ある報告がなぜ口頭なのか。一人の高齢者の生命と一つの家族の絆を揺さぶった事件の検証が、なぜ口頭なのか。いやいや、どんなに優秀な議員であっても、こんな長い報告をいきなり聞かされてそれが頭に入るとはとても思えません。何人かの委員から「なぜ口頭なのか?」と疑義が出されたのは当然です。
 そして、「高齢者相談センターとして、虐待対応及びご家族への支援につきましては、適切に行ってきたものと認識しております」というのが、この長い口頭報告の結論でした。実際にこうした事件に帰着したにもかかわらず、「適切に行ってきた」と言い切る感性を、私は疑います。現場で直接かかわった皆さんも、そう考えているのか? 4つある高齢者相談センターの専門職も、そう考えているのか? 聞いてみたい。

 6月30日に光が丘で起きましたご家族によるお母様への虐待事件について、8月26日に新聞報道がなされたところでございます。通常、こうした個別の案件につきましては委員会へのご報告をしておりませんが、今般、記事に指摘されております光が丘高齢者相談センターによる対応について報告をさせて頂きます。
 記事にもこざいますが、光が丘高齢者相談センターでは昨年6月、ご家族からの相談を受けた担当のケアマネジャーから、介護負担に伴うストレスによりご家族による身体的な虐待があるとの報告を受けました。高齢者相談センターでは、報告に基づき必要な虐待対応を図ってまいりました。
 第一に、虐待の事実確認とご家族の状況を把握するために職員がご家族のご自宅に伺い、ご本人、同居そして別居中のご家族、また介護事業関係者の同席の上、お話を伺ったところであります。本件につきましては、ご本人の医療の必要性とご家族の介護にかかる課題があったことから、高齢者相談センターの保健師と主任ケアマネジャーの資格を有する職員が対応しております。
 次に、確認できた状況を踏まえまして、光が丘総合福祉事務所において高齢者虐待ケース検討会というものを開催致しました。この検討会は、高齢者の方の保護はもちろん、養護をなさるご家族に対する的確な支援を行うことを目的としております。検討会におきましては、ご本人の認知症にかかる専門的な治療が必要なこと、介護サービスの見直しによりご家族の負担を軽減することが重要であると判断いたしました。また、本件につきましては、複数名の同居のご家族がいらっしゃること、そして別居しているご家族の方も定期的な支援を行っていること、さらにほぼ毎日介護事業関係者による第三者による見守りも実施可能なことから、ご本人の分離保護ではなく、ご本人の認知症による不穏状態の改善に向けた支援を実施したところでございます。
 まず、専門的な治療のため、医療に関わるところということで医療機関を紹介し、入院に向けたご家族との相談を行いました。そして、実際入院が決まった際には、センターの職員も同行致しました。入院中にも、センターの職員が病院に伺い、ご本人様にもお会いし、病院の関係者からご本人の不穏状態の改善などを確認したところでございます。そして、退院に向けた支援を担当ケアマネジャーと検討してまいりました。
 また、今回のケースにおきましては、相談頂いた当初から、施設入所という選択肢もご家族へご提案していたところでございます。ただし、今回の件は、ご本人様とご家族の意向によって、ご自宅でご家族による介護を継続することとし、そのため在宅生活での必要な介護ケアの見直しを実施致しました。ご本人の退院を契機といたしまして、直接的な支援は終了といたしましたが、ご家族には、何かあればまたすぐにご連絡・ご相談をくださいという旨をお伝えし、そして担当ケアマネジャーとは今後も注意が必要なこと、見守っていくことという旨を確認したところでございます。退院後も、センターの職員が同じ光が丘地区の中でご本人様やご家族とお会いした際に、こちらからお声掛けを行い、その後の状況などを伺っておりました。また、担当ケアマネジャーからも、何度かご本人様やご家族の様子を伺っております。そういった状況の中で、退院後の虐待の事象や可能性につきましては、特段のご相談やご連絡はございませんでした。
 今回、このような事件は大変痛ましいことではございますが、高齢者相談センターとして、虐待対応及びご家族への支援につきましては、適切に行ってきたものと認識しております。現在、高齢者虐待に対する私ども高齢者相談センターの果たすべき役割は、ますます重要性が高まっているものと考えております。今回の事件を含めまして、様々な虐待のケースを対応事例として積み重ね、今まで以上にきめ細やかな対応であったり、適切な保護、ご家族への支援の実施に向けて取り組んでまいる所存でございます。

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