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「学校生活支援員」の増員を!! ~“インクルーシブ教育”にむけて~

 障害者基本法の改正や権利条約批准の動きの中で、「インクルーシブ教育」への流れはもう元に戻ることはないでしょう。中教審がまとめた最新の報告は、国・文科省の中でもこうした流れがはっきりとした姿を取りつつあることを教えています。

中央教育審議会初等中等教育分科会「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」は、こちらから 

 しかし、何より問題は現場です。現場がどう変わるのか、変わらないのか。変わるために何が必要か。決算審査「教育費」で取り上げた学校生活支援員の話は、この現場のあり方を左右する大きな課題の一つです。
 質疑の中でも触れていますが、練馬区は今、「特別支援教育」を推進するための人的な配置の柱の一つとして、学校生活支援員を配置しています。心障級にも同名の非常勤が配置されていますが、もともとは通常級に通う障害児とその保護者、支援者の粘り強い取り組みに突き動かされて教育委員会が導入してきた移動等介助員、学級経営補助員(いずれも臨時職)を一本化する中で3年前に制度化されたものです。
 学校生活支援員の職務について、区は規則でこう定めています。

1.児童生徒に対する学習支援に関すること。
2.児童生徒に対する学校内等の移動および日常生活上の介助に関すること。
3.特別支援教育の推進に関すること。
4.学級経営の安定に関すること。

 学校生活支援員は、心身のハンディやその他の理由で特別に配慮を要する子どもたちがいる場合に、そうした子どもたちを直接に支援するだけでなく学級や学校全体の中で支えていく体制を整えるための「人」です。臨時職員ではなく非常勤とすることで、たとえば校内委員会などの会議に出席するなど、支援員の職責と権限は大きく変わりました。
 支援員の制度化は、練馬区におけるインクルーシブ教育の進展の流れの中ではとても大きな意味を持ったと思います。ただ、支援員の配置はなかなか思うようには広がらず、そしてまた、配置されても必ずしも適切に、また有効に生かされていない場合も少なくありません。そこで、質疑です。質疑は、支援員の増員を正面から求めるという趣旨で行いました。答弁は、残念ながら率直・明快なものではありませんでしたが、他の会派からも増員を求める声が上がっています。来年度に向けて、ぜひ前向きの変化を期待したいものです。
                 (以下の質疑記録は未定稿です。正式な議事録ではありません)

池尻成二委員 続けて、435ページ、これもやっぱり学校における人の問題ですけれども、学校生活支援員の経費について伺います。
 先ほど、他の会派の方から若干ご質疑がありましたけれども、非常勤の学校生活支援員は、特別支援教育を進める人材の一つとしても重要な柱として、2009年度から配置をされています。初年度の2009年度は102人の非常勤の配置をされたと。今年度予算では121人分ということになります。 4年間で19人増えています。


 これ白身は大事な前進だと思うのですが、しかし、よく見ますと、増えた分の半分は、クラス数が急増している特別支援学級への配置で、通常級の、しかも小学校に限れば、57人がやっと58人になっただけということで、ほとんど増えておりません。非常勤のほかに臨時の学校生活臨時支援員もいるわけですけれども、こちらは2年目の2010年に非常勤の不足を埋める形で大きく増えて、延べ8万時間の配置になったのですが、昨年は5万8、000時間にまで絞られました。
 学校生活支援員については、PTAの連合会からも毎年のように加配を求める要望が出ているようですけれども、教育委員会として、まず基本的な認識なのですが、現在の配置で足りているとお考えなのか、お聞かせください。
教育指導課長 現在、非常勤の生活支援員と臨時の支援員ということで対応しているわけですけれども、年度によっても子どもたちの状況は変わるわけです。例えば昨年度の状況でいえば、非常勤を配置できなかった学校、年度当初から臨時を配置し、年度途中で学校から要請があった場合には、私どもの職員が状況を確認したうえで、本当に必要なところについては配置をしておりますので、現段階でそれなりの一定の成果を、生活支援員の配置で上げていると考えております。
池尻成二委員 それなりのというお話が教育指導課長の言葉から出るというのは不思議なのですが、それなりというのは何なのでしょう。支援というのは、いつもあくまで1人の子どもを見て支援するわけで、その支援の課題に応えているかどうかというのが基本ですから、それなりのということはあり得ないと私は思いますけれども。
 実は、いろいろ数字をいただきまして、個別指導計画をつくっているお子さんの数が、今年、小学校では513件、。中学校で213件いらっしゃいます。これはもちろんいろいろな方がいらっしやるので一概には言えないのですけれども、単純に割ると、1校当たり7人の子どもたちが個別指導計画をつくって支援を受けているということのようです。
 あと、非常勤の支援員の配置申請書につけられた支援員の配置要員となる児童・生徒の人数を当たっていただきましたら、これも一つの申請当たりほぼ10人。つまり、支援員1人当たり10人近い、あるいはそれを超えるような、配慮を必要とする子どもに対応しているという状況があるのだと思うのです。
 こういう状況があるからこそPTAからも要望が出るわけで、私としては、ぜひこの学校生活支援員については、5年目に入るわけですけれども、最低限、非常勤の各校1人配置、それから臨時も含めた体制の強化をしていただきたい。
 実は教育長は制度導入のときには学校教育部長をやっていらっしゃって、導入の結果もよくご存じなので、ぜひ今後の学校生活支援員の配置についての考え方をお聞かせいただければと思います。

教育長 今、学校の現場、通常級における配慮を要する子どもたちの様子というものは、私も実際に学校へ行って見ることも結構あります。大変難しい事案もあります。そういう意味では、この学校生活支援員を、当初の臨時から非常勤に移して、議会のご支援もいただきながらこういう形にしたということは大変よかったと思っております。
 現状、配慮を要する子どもたちが増えているということは事実だと思いますが、これに対しては、ただ増えているから、では学校生活支援員かということではなくて、学校全体でしっかりと見ていくという基本がないと、そういう子がいたらすぐに学校生活支援員をつけるのかという形になりかねません。
 やはり基本は、学校の教員がそういう子どもたちに対するしっかりとした対応能力をつけていくということが必要です。そして、どうしても難しいことに関しては学校生活支援員を配置していくと、そういうトータルの配置の考え方に基づいて、年度ごとのさまざまな要因を加味しながら、配置数についても考えていきたいと思っております。

池尻成二委員 一般論としてはおっしゃるとおりなのです。それは全然否定しません。ただ、現実にはいろいろ相談を受けますけれども、学校が対応を始めて、対応を組む中で始めて学校生活支援員の申請が進むということが非常に多いのです。そのあたりは、よく現場の状況も確認はなさっていると思いますけれども、私は配置を強化していただきたいと、改めてお願いしておきます。

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