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高校の堕落

 必須科目を生徒に履修させず、その時間を他の受験科目の授業に当てていた高校が、次から次へと出てきています。都立高校でも、八王子東高校が「倫理」の履修をさせず、しかも都教委への報告や通知表には意図的に虚偽の記載までしていたと報じられています。高校が、大学受験のための手段に成り下がっていることをまざまざと示す、衝撃的な事件です。
 しかし、あえて問いたい。誰が堕落させたのか。
 八王子東高校は、実は、都教委が指定する「進学指導重点校」4校のひとつです。他の三つは、西高校、戸山高校、そして日比谷高校。重点校指定の意図は、あけすけです。「当面の目標は、全国の公立高校のトップクラスの学力を身に付けた生徒を多数育てる学校になることである。」(都教委「進学指導重点校・進学指導重点準備校の取組状況」)
 重点校では、国立「難関」大学(東大、京大、東工大、一橋大)や私立「難関」大学(早大、慶大、上智)の合格目標を設定し、合格状況を競い合うことを、都教委自身がきわめて露骨に求めてきました。
  ⇒たとえば進学指導重点校の取組状況報告

 「有名」大学への進学を最大の目標にして学校全体のあり方を再編成していくことを都教委自身が求めてきたのであり、八王子東高校の事態は、こうした都教委の姿勢を抜きには絶対に説明できないことです。
 それにしても、他の問題ではあれほど「学習指導要領」を金科玉条のように持ち出す教育委員会や学校が、肝心の学習指導においてこんなにいい加減で反道徳的なことをやっていたとは、本当に笑止千万です。都教委も、都教委に易々と追随してきた学校管理者も、顔を洗って出直すべきです。

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